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飲み会用に知っておくべき、大嫌いな「愛され女」活用法

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わたしの大好きな日本酒のおいしい季節がやってきました。

鍋をつつきながら冷酒をキュっとやるのもいいですし、熱燗もポカポカ温まりますよね。
しかしこの時期、酒好きの女を「私物化」するおじさん……「酒ハラスメント」にも要注意。
特に忘年会、クリスマス、お正月を控えた今、酒ハラ被害対策、予防策を早急に考えねばなりません!

先日、いまや貴重でなかなか飲めない蔵元の日本酒を安く飲めると評判のお店に誘われました。そこは3カ月先まで予約がいっぱいのお店。
ワクワク! ビラビラ! とかけつけると、その場で初顔あわせの40代の男性が、最初はごく普通だったのに酒が入るにつれ目つきがあやしくなり、
「俺のタイプ!」「意外と巨乳!」「おっぱいさわらせてー!」と本当におっぱいをつかまれそうな勢いでぐいぐい迫られ、身の危険を感じ、せっかく楽しみにしていた幻の田酒やら十四代やらを全然味わえませんでした。
帰りも「家に泊まらせてー!」と駅のホームまで追いかけられ、なんとかやり過ごしましたが、美味しいお酒を飲みに行ったはずなのに、ヘトヘトになって家の安ワインで飲み直している自分が情けなくなりました。
こんな思いをして割り勘だったことにもイラだちの炎はくすぶり続けました。
せめてサービス残業代よこせ……!

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……悲しいことに、このような「酒ハラ男」には、昔から何度も遭遇してきました。
わたしに限らず、お酒が好きな女性なら、わりとよくある体験ではないでしょうか?
特にビール・ワイン・焼酎よりも断トツに日本酒好きが狙われやすいのは、酒好きの中でも最も「酒豪そう」に見えるからでしょう。
なぜか彼らには「酒好きの女は自分の自由にできる」という固定観念があるのです。

だいぶ前ですが、漫画の仕事で初顔合わせの編集さんと焼肉屋で打ち合わせをした際、
「おっぱいさわらせてー!」と同じように迫られたことがありました。
後日、その酒ハラ編集氏から聞いた理由がすごかった。

「(わたしが)焼肉屋なのに日本酒を頼んでいたから

全く非理論的ですが、彼に言わせると、下記の法則が成り立つのだそう。

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たしかに、龍堂薫子さんのような方もいます。
(ブログ 「鬼畜!ヤリマン道場」)
龍堂さんは自らヤリマンと豪語されておりますし、酔っ払った武勇伝もすばらしいです。でも、酒好きの女の誰もが龍堂さんのようになれる訳ではありませんし、すべてのヤリマンが酒好きでは、決してありません。そしてヤリマンの方にも、ヤリたい相手を選ぶ権利があります。わたしはビールを頼んだら腹が膨れてせっかくの焼き肉を少ししか食べられなくなるのが残念だから日本酒にしただけで、単なる食い意地の張った女

知らない人におっぱいをさわられたくもないし、自分をヤリマンとも思っていません。

しかも繰り返しますが、仕事の打ち合わせでのことでした。
拒絶して場の雰囲気を悪くさせるのも申し訳ないし、
「ブスが意識しやがって!」と逆切れされれば、結局嫌な思いをするのはわたしです。
痴漢にあって訴えたら「お前みたいなブスさわらねーよ!」と逆切れされるシチュ同様とてもくやしいですが、仕事がなくなったら困ると思い、我慢して受け流しました。

いや、いくら仕事でも、やはりきちんとNOは言うべきでしょう。
しかし、酒ハラ男は後になって必ずこう言い訳するのです。

「酔った勢いだった……」

すべてを酒のせいにしますが、普段隠されていた本性がアルコールによってあらわになっただけなので、もっとタチが悪いと思います。
それでも、「記憶がない」「覚えてない」と言われればそれまでです。
酒ハラ男は更生する気もないので変わることはないのです。

誰かと飲みに行くのでなく、独りで飲み屋に入った場合にも酒ハラに遭います。
なぜか彼らは「独りで酒を飲むブスはかわいそう」と決めつけ、
声をかけてあげようとボランティア風を吹かせ、ほっといてくれません。
わたしは一人で酒を楽しみたいだけなのに……。

酒ハラ男が生息する限り、酒好きの女が心やすらかにお酒を飲める未来はきません。
でも、安くて美味しいお酒をもっと気楽に飲みたい!
これからの季節、わたしたちが酒ハラにあわずに飲むにはどうしたらいいでしょう……?

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ろくでなし子

漫画家。日本性器のアート協会会員。自らの女性器を型どりデコレーションした立体作品「デコまん」造形作家。著書に『デコまん』(ぶんか社刊)。『女子校あるある』(彩図社刊)

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