インタビュー

40代に入ってすぐに表れた更年期症状、自縄自縛に陥ってもがいた5年。「もっと早く治療すればよかった」―美佳さん46歳

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不妊治療を止めた40歳

 40歳をすぎてすぐにこれまで経験したことのないような体調の変化を感じ始めたという美佳さん。まず最初に起きた変化は<不眠>だったという。それまではベッドに入って目を閉じた瞬間に眠れるぐらい寝つきがよかった美佳さんが、ある日を境に突然眠れなくなるように。特にストレスも悩みもないつもりなのに、なぜだか眠れない。

 一睡もできないまま朝を迎え、自宅近くに借りたアパートにある仕事場に向かう。昼間は眠気と戦いながらなんとかWebデザイナーとしての仕事をこなし、家に帰ればその日はとりあえず死んだように眠ることができた。そんなふうに眠れる日と眠れない日を一日ごとに繰り返しているうちに、月日が経っていった……。

――その頃って、生理周期に乱れなどはなかったんでしょうか。もともと、生理は順調なタイプですか?

「若い頃から、生理についてはなんの悩みもないタイプでした。乱れもなく、きちんと予定通りきていましたし。生理痛もないし、経血も少なめで期間も早く終わる。とにかく楽でした」

――PMS(月経前症候群)も特に感じなかったんですか。

「ええ。40歳を過ぎるまでは、PMSなんて意識したこともなかったんです」

――というと……40歳を過ぎて突然PMSがつらくなったということでしょうか。

「はい。さっき話した不眠のほかに、突然イライラしたり怒りっぽくなったり、時には感情が爆発して抑えきれないということが起きるようになったんです。そうなると、まず一番の被害者は夫ですよね。とにかく彼に些細なことで怒りまくるようになりました。あとは、私、お酒が好きなんですけれど、一緒に飲んでいる人相手に、極端に愚痴っぽくなったり」

――そうですか……まぁたしかに、あまりにも愚痴っぽい人が席にいると、お酒も美味しく飲めなくなりますものね。

「そうですよねぇ。でもそれまでは、飲んでいてもホントにそんなことはなかったんですよ、私。なのに、そういうことが度重なり、自分でも変だなと思うようになって。それでよく考えると、イライラしたり怒りっぽくなるのはPMSの時期と重なるなと」

――PMSの時期は女性ホルモンが急激に変動すると言われています。それで更年期の症状も出やすくなったんでしょうか。

「いま考えると、まさにそうだとわかりますが、その頃はまだすんなりとは当てはまらなかったんですね。基礎体温をつけていたので、そういう症状が出やすくなるのはPMSの時期だな、というのだけはわかりましたが」

――基礎体温をつけられていたんですね、それは若い頃からの習慣ですか?

「私、36歳頃から40歳まで不妊治療をしていたんですね。それもあって基礎体温を測ることが習慣となっていたんです」

――不妊治療も、何歳で止めたらいいのかで悩まれる方が多いですよね。美佳さんは、40歳ですっぱりと止める決断をすることができたのですか?

「うちの場合は夫が10歳年上ということもあり……。私が40歳になった頃に『いまから産んで、ちゃんと子供を育てられるのかな』と急に不安になったんですね。それでもうここで諦めようと決断することができたんです」

――そうだったんですね。すみません、話が脱線してしまって。では更年期症状の話に戻りますね。不眠、イライラ、それがPMS期に特にひどくなる……そういう状態で仕事に支障は出なかったのでしょうか。エストロゲンは脳にも送られているものですから、それが減ると当然なにか仕事の面でも差しさわりもありそうなものですが……。

「少しずつ、支障が出てきました。仕事をしていて、決断力や判断力がなくなってきたんです。それに、夜も相変わらず眠れない日々が続いて。ついに眠ることを諦めて、夜はずっとパソコンで動画を見るようになったり、あとは夜明けまで飲み歩いて泥酔して帰り、朝方お酒の力を借りて少しだけ眠るという日々を繰り返していました。夫も眠れないと言いだしたので、夫婦の寝室を別にするようになったのもその頃です」

食欲不振、そして激やせ。指先の冷えと痛みに心臓の痛みも…

 不眠の次に美佳さんを襲ったのは食欲減退だった。食べ物がのどを通らなくなり、どんどんと痩せていき、腕はまるで鳥ガラのようになった。いまその頃の写真を見ると、美佳さん自身も「ダイエットをしなくても人間ってここまで痩せられるんだな」と驚くばかりだという。さらには痩せるだけではなく、見た目にも大きな変化が現れるようになる。顔には皺が増え、ついにはまつ毛の一部が抜け落ちてしまった。

 その頃から美佳さんは鏡を見るのがイヤになり、化粧を一切しなくなる。外を歩く時は、帽子を深くかぶったり、眼鏡をかけて誤魔化すようになった。けれど、それでもまだ自分のこれらの症状が更年期だとは結びつかなかったという。

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日々晴雨

都内在住フリーライター、独身。いくつかのペンネームを使い分けながら、コラム、シナリオ、短編小説などを執筆。コピーライターとして企業のカタログやHPなどのライティングに携わることも。