壮大らに呼び出され苦言を呈された柴田は、ナースとしての仕事を認められないこと、病院への鬱憤が溜まっていたこともあり、壇上記念病院を辞めると言い出してしまう。柴田の実力を認めている沖田は、彼女を止めようとするも言うことを聞かず、口論になる。「医者は結局医者の味方なんですよ。ナースのことをアシスタントだとしか思っていない。ナースを認めようとしない」と言い放つ柴田に呆れる沖田。
沖田「辞めて正解なんじゃない。ついでにナースも辞めちゃえば。ナースを認めていないのは医者じゃない、自分自身だろ」
柴田「わかったようなことを言わないでください。私は誰よりも勉強してきた。自分の仕事に誇りをもってやってきた。私の何がわかるんですか」
深冬もまた、柴田を説得しようとする。沖田は本心でナースを辞めろと言ったわけじゃない、手術の腕はあるが人間としては不器用な人なのだ、と諭す深冬。そして柴田の置かれている立場が、「同じ女性として許せない」と彼女は言った。
しかしその言葉に柴田は嫌悪感を示す。「沖田先生のことよくご存知なんですね」「問題なのは私が女だからじゃなくてナースだからですよ」。
柴田は過去に、「自分の実力で医者になったのに(認められない)」と話す井川(医学会の権力者の息子)に「受験料も学費も全部親の力でしょ!」と声を荒げて言い返したり、やはり井川が、柴田の見事な腕を褒めて「医者になったほうがよかった。ナースにしておくのはもったいない」と言えば、「簡単に言わないで」と突っぱねていたりした。もとより柴田が何らかの不満を抱えていることは第一話から示唆されていたことだ。
その不満は、柴田が珍しく井川からのデートの誘いを受けた際にはっきりする。「柴田先生、辞めないで。柴田先生はナースになるために生まれてきたようなもの」と説得する井川に対し、「なりたくてなったわけじゃない。親が医者だからって当たり前に医者になれるもんじゃない。親が医者でも医者になれない人もいる。たった一度、一回のミスで訴えられて病院を潰されて、医学部に行くお金がないからしょうがなく看護学校に行くしか……」と言い返す柴田。そう、柴田はもともとナースではなく、医者になりたいと思っていたのだ。だが、学費の都合がつかず医大に進学できなかった。