辻希美や紗栄子、長谷川理恵、神田うの、加藤茶の妻・綾菜など、ネット上で鬼女たちからのウォッチの対象となっている“嫌われ女子”たち。彼女たちが嫌われてしまう理由はさまざまだが、そんな有名人たちの陰に隠れて、地味に嫌われ、ネット上で密かにバッシングされている女性がいる。それが、スタイリストの伊藤まさこだ。
ご存じない方に説明すると、スタイリストである彼女の仕事は料理からファッションまでと幅広く、料理レシピ集にエッセイ集、パリやら京都を散歩した本、ブックガイド……と、何が本職なのかわからなくなるほどに著書を出版し、ヒットを連発。清潔感とナチュラルさがウケ、「クウネル」(マガジンハウス)や「天然生活」(地球丸)、「LEE」(集英社)などを愛読する“元オリーブ少女”たちから絶大に支持されている“主婦のカリスマ”なのだ。
冒頭に挙げた芸能人のように派手な生活を送っているわけでもない、ナチュラル系スタイリストの彼女。だが、ネット上での嫌われ方は負けず劣らず壮絶で、2ちゃんねるのスレッドでは、バツ2で現在は人気木工作家と同居する“お盛んさ”がやっかみを買い、「あばれ貝」と不名誉なあだ名を付けられてしまったほど。どうやら“ていねいで慎ましやかな日常”をウリにする分、恋愛に奔放なイメージが仇となってしまっているようだ。また、出版物を乱発させすぎなのか、Amazonのレビューでも絶賛の声が並ぶ一方で、「この程度で一冊の本が出せるのはネームバリューだからとしか思えない」「各所で出してきたことの寄せ集めや焼き直しはもう飽き飽き」といったコメントも散見される。
だが、そんなバッシングなどどこ吹く風。先日発売され、またしても売れている私服公開本『ザ・まさこスタイル』(マガジンハウス)では、タイトルのどや感さながらに、鬼女たちに燃料を投下するかのごとく“まさこイズム”を炸裂させているのである。
たとえば、「まさこスタイルは基本的にモテる、というか、誰からも好感をもたれるおしゃれだと思うな」と編集者から褒められても、「好感をもたれるのはうれしいけど、モテとかは、考えたことないですねえ」「好きな人の好みの恰好をしようとか、思わないんだ」「あなた色に染まりたいとか、ありえない」と、よこしまなモテ心が一切ないことを断言。“まさこはまさこ色?”と訊かれ、「あたりまえですー」と無邪気に返答している。
さらに、人生における恋愛のプライオリティを尋ねられ、「うーん、彩りを添える感じ、生活に。お弁当でいえばプチトマトかな」と、さらっと答えてしまうのはさすがの一言。「他の人が言うこととか、あまり気にならないみたいなの」と言うように、下世話な声など意に介さない態度は実に清々しいもの。「ダイエットしたり、お肌のためにお酒をひかえる……なんてこともしていません。なにしろエピキュリアンですもの」と宣言するあたりに、なみなみならぬ自信を感じさせる。ちなみに、「和室で取材になりそうな場合、畳に座った時に裾がきれいに広がるフレアースカートを選ぶ」のだとか。この計算力、これぞ鬼女が嫉妬に駆られるモテの秘訣なのだろう。
こうして見ていくと、同じように鬼女たちからバッシングにさらされても、痛々しい若づくりに励む平子理沙や、旦那の悪趣味を払拭することに懸命な“清原嫁”こと清原亜希、略奪婚の言い訳ばかり繰り返す長谷川理恵といった同世代のファッションアイコンとは“タマが違う”と言わざるを得ない彼女。蒼井優しかり、美魔女やコンサバ系よりも質素・ナチュラル系の女のほうが打たれ強い……のかもしれない。
(宝亀育子)