
Photo by Alyssa L. Miller from Flickr
『セックス・イズ・ゼロ』(韓題:色即是空、2002年)という韓国映画がある。韓流ドラマファンなら一度は耳にしたことがあるであろう女優ハ・ジウォンや、演技派で知られる俳優イム・チャンジョンが主演した青春コメディ&ラブストーリー作品で、内容はとにかく下ネタや下品なジョークが満載! 個人的には、ヤリたい盛りの韓国人大学生の素の姿をあますところなく描写しているし、笑いどころも多く、また男性の純愛観が込められているのでおすすめできる。甘ったるい言葉ばかりが飛び交う韓国恋愛映画に比べたら、韓国人男性のリアルな本音が語られていると思う。
ただ、韓国人男性にその話をすると決まって「センスがない」と酷評されてしまう。韓国人男性が持つ貞操観念の建て前からするとあまり素直に認めることができないのか、露骨にバカにされる場合もある。普段、女性にまつわる話題しか興味のなさそうにしている知人の韓国人男性からそのような反応が返って来ると、少し呆れてしまうのだが……。
ところで、韓国社会は「夫婦の性生活に関する満足度」がとても低い国。これは数年前、韓国の大手新聞社・中央日報が、韓国大手製薬会社の統計をもとに報じたニュースだ。韓国女性のうち、パートナーとの性生活に満足している女性の割合は全体の約30%。一方、韓国人男性も「満足している」と回答したのは全体の50%に留まっている。女性、男性ともに、性生活に対しての満足感が、欧米諸国と比べると極端に低いという統計になっている。韓国人男性が挙げる不満足の理由は「パートナーが性生活に興味がない」「テクニックがない」。逆に女性は「気分を盛り上げてくれない」「自分勝手」という理由が多い。
女性にだけ厳しい貞操観念
韓国には婚姻関係を結んだ夫婦に対して姦通罪が存在する。しかも、不倫関係を結んだ「女性にだけ」厳しく社会的制裁が加えられてきたという事実があり、女性の貞操観念を社会ぐるみで規制してきた。
今年、とある女性は離婚後間もなくして他のパートナーとの子を妊娠して再婚したものの、前夫との間にできた子ではないかと疑われ、新しいパートナーに姦通罪で告訴されたという。もちろん、女性の言い分はまったく関係なく、である。そのような女性たちに対して、“楽しいセックス”を要求する韓国人男性はフェアではなく、「自分勝手」と罵られてもいたしかたないのではないだろうか。
実際のところ、韓国人男性と付き合ったことのある諸国の女性に印象を尋ねたところ、「自分勝手」という意見は一致していた。なかには「自分の欲求を満たすことしか考えていない」という厳しい指摘も……。
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