小栗の海外進出と言えば、純粋に本人の夢でもあるのだろうが、2014年8月発売の『クイック・ジャパンvol.115』(太田出版)にて、「日本で俳優のための労働組合を作りたい」という発言も思い出される。アメリカには“SAG-AFTRA”といった役者のための組合があるが、日本ではこれに匹敵するような大規模な組合はなく、タレントは事務所の都合に大きく左右される。その現状に小栗は「みんなけっこう、いざとなると乗ってくれないんですよ」「たぶん傷つきたくないからだと思うし、今の自分の立場を失いたくないからだと思う」「やっぱり組織ってとてつもなくでかいから、“自分は誰かに殺されるかもしれない”くらいの覚悟で戦わないと、日本の芸能界を変えるのは相当難しいっすね」とも発言しており、自身の俳優としてのスキルや実績を積み重ねることができたら、日本の芸能界において事務所の力などなくとも実力で立場を確立できることを証明する術となり、若手俳優の道標となろうとしているのかもしれない。
日本の芸能界に対しては、小栗よりも一足先に海外進出した窪塚洋介(37)も、昨年8月にWEBサイト『HARDEST MAGAZINE』のインタビューにて、ハリウッドと日本を比較しており、「俺が日本の芸能界に対して一番クソだなって思うのはね、すごく政治的なところでクリエイションが決まっていくところだね。内容にしろ配役にしろ」とボロカスに言い、2017年1月にはWEBサイト『シネマトゥデイ』にて「20代前半のどこかのタイミングで、もういいかなって。ある現場で不信感が強くなる出来事があって、俺の居場所はここじゃないなって思ったんです」と今後テレビドラマに出演するつもりはないことを明かした。
窪塚は日本のテレビ業界、芸能界に呆れてしまったが、今後、小栗の準備が整った暁には、もしかしたら再び日本での活動も視野に入ってくるかもしれない。そのきっかけともなり得る本作、大成功を期待したい。
(ボンゾ)
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