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夫婦が結婚生活を続けられなくなった理由を、これ以上ない説得力で伝えている/『カルテット』第六話レビュー

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 恋愛感情を持つ相手と結婚して“家族”になってその人に尽くしたかった真紀と、結婚後も“恋人”であり続けたかったし出会った頃のままの女性でいてほしかった幹生。お互いに相手と結婚したい気持ちは同じだったけれど、結婚に求めるものが、違っていたのです。結婚生活に真紀は大満足だった(ように見えた)けれど、幹生は内心不満だらけ。でも、家にいて家事をして自分を支えてくれる美しい妻に文句なんて言えないし、自分がワガママなだけかもしれない。真紀は家を整えて夫を支えることがしたくて専業主婦になる道を選択し、それを夫も望んでいると誤解していたのかもしれませんが、幹生はそんな真紀と一緒にいることが苦痛になっていったと。

 幹生は、真紀に幻想を抱いていたけれど、素顔の真紀は理想の女性ではありませんでした。真紀もまた、幹生に(あるいは夫婦というものに)幻想を抱いていて、夫を「ありのままの本音や素顔を見せていい相手」だと考えていたところがあるのでしょう。

 夫婦、恋人間だけでなく、友人、親子、兄弟姉妹、上司部下とか先輩後輩、あらゆう人間関係での普遍的な問題ともいえます。相手との関係性に求める、あるいはこうあるべきと考える、その“前提”が食い違っているといつかうまくいかなくなりますよね。そして大事な相手であればあるほど、その“前提”が全然違っていたとわかった瞬間のショックは大きいです。

 けれど、視聴者は夫婦崩壊の顛末の余韻に浸っている暇などありませんでした。そもそも幹生はすでにコンビニ強盗を犯した身。通報しようとするすずめの手足を縛り、口もガムテープでふさぎ、再び逃走を図るのですが、なぜかそこで有朱(吉岡里帆)が別荘を訪れ、鉢合わせてしまうのです。どういう目的があるのか不明ですが、有朱はカルテットメンバーが留守だと思って別荘に忍び込み、真紀のヴァイオリンを盗もうとしました。いとおしそうにヴァイオリンを抱く有朱を、すずめを拘束し監禁し終えた幹生が発見、「これは、真紀ちゃんのヴァイオリンだろ!」(←どの口が言うんだよ)と乱闘になり……有朱は別荘のウッドデッキから、落下してしまいました。幹生はさらなる罪を重ねてしまったのか……?

 朝は猛烈な吹雪だったけれどすでに雪は止み、穏やかな天候の軽井沢。雪深い山林で懸賞金つき猿を捜索する愉高も、会社の倉庫に閉じ込められてしまった司も、境子と別れて家路を急ぐ真紀も、別荘が大変な騒ぎになっていることをまだ知りません。次回、真紀と幹生は、すずめは、有朱の安否は? まだ第六話、折り返し地点の段階でこんな展開って、じゃあこの先どうなるんでしょう!?  これが最終話直前の回ではなくまだ折り返し地点とは……。 “終わりの始まり――”との第七話、彼らの行動と選択をしっかり見守っていこうと思います。

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