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壮大(浅野忠信)によって、恋人が略奪されたことを知った沖田(木村拓哉)の怒り。/『A LIFE~愛する人』第八話レビュー

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 術後、震える手を沖田は握り締めた。モニター越しに手術を見つめていた壮大も震える手を握る。「親父さんのオペ、見てたよ。いくらお前でも特別な人のオペはうまくいかなかったな」。壮大がいいたいことは明確だ。深冬の手術は大丈夫なのか。「深冬のオペ、お前に任せていいのかな」

 翌日、壮大に呼び出された沖田が副院長室を訪れると、壮大が手術の練習をしていた。

沖田「話ってなに?」
壮大「連続フォアボールで押し出し逆転負け。あのときお前にマウンドを明け渡した結果だ。自滅したお前をみて思ったよ。あのときやっぱり俺が痛みをこらえて投げればよかった。今回はオペだ。自滅されたら困る」
沖田「何が言いたいの」
壮大「深冬は俺が切る」
沖田「なに、それも“親友として”の提案? ……10年前、俺はシアトルに行った。院長に勧められて。今はもう、あの頃の俺じゃない」

「深冬は俺の患者だ」
「深冬は俺の家族だ」

 壮大は、自分の思惑通りに全てを動かそうとしてきた。沖田を試すかのように、深冬の手術を任せたくせに、直前になって自分が切るといいだすのは筋が通っていないのではないか。特別な人を切るという壁を乗り越えた沖田への対抗意識なのだろうか。とはいっても、壮大の専門は脳外科で、深冬が妻でなければ、適任は壮大で間違いない。誰が深冬の手術を担当するのだろう。ところで、手術方法は沖田が考案したものだった。それもこれまでドラマ内で何度も沖田が担当している、心臓手術の手法を援用したものだ。ふたりが協力する可能性も、もしかして……?

 バチバチとにらみ合う二人のもとに看護師からの着信が届く。深冬の容態が急変し、意識レベルが落ちている。二人は副院長室を飛び出し、深冬の元へ駆け出していった。
(ドラマ班:デッチン)

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