過去の栄光は消え失せ、やることなすこと裏目に出るフジテレビ。3月4日に放送した大ヒットディズニー映画『アナと雪の女王』のエンディングでは、せっかくの余韻を台無しにするオリジナル映像を用意して非難の的となり、気合を入れてその前時間帯からディズニー特集のスペシャル番組を放送したものの、こちらもダダ滑りという惨状だ。テレビ番組制作のプロ集団であるにもかかわらず、なぜこうまで視聴者の空気、時代の流れを読めないのか不思議なほどである。
かつてはフジテレビを代表する高視聴率バラエティ番組だった『とんねるずのみなさんのおかげでした』(以下『みなおか』)も、フジの凋落とともに視聴者が離れていき、最近では視聴率が5%を割ることもあった。とんねるずはフジ黄金期を支えた大御所お笑いコンビであるが、彼らも現在、レギュラー出演番組はこの1本のみ。CMからもお声がかからない状況で、芸人活動のピンチを迎えている。
しかし今、番組の趣向は少しずつ変化の兆しを見せている。
『みなおか』のメインコンテンツとして多くの人が思い浮かべるのは「食わず嫌い王決定戦」だろう。2組のゲストをスタジオに呼び、とんねるずと美味しい食事を食べながらまったりトークして1時間の尺を稼ぐという実にコスパがよさそうな企画だ。しかし最近は滅多なことでは「食わず嫌い」をやらない。番組は様々な新コーナーを次から次へと立ち上げ、旧態依然とした番組構成を打ち破ろうとしている。特に注目すべきは、ロケ企画を増やしている点だ。
「食わず嫌い」を減らし、代わりに増やしているコーナーは「きたなトラン」「○○、××を買う。」「鑑定 売るシリーズ」「とんねるずは突然に…」「ぶらり途中下車の○○」など全てロケ企画だ。飲食店を数軒回るロケはバスで移動しているのだが、拘束時間は長い。
とんねるずがファンの自宅を訪れる「とんねるずは突然に…」では、東京を離れ他県を飛び回り九州にまでいったこともある。1時間の番組内で3~4軒ほどのファンの家を訪れることもあり、拘束時間に対して撮れ高は少ない。スタジオトークがメインのクイズ企画や、「食わず嫌い」ならば数時間で収録できてしまうが、ロケはそうはいかないのだ。
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