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水野美紀の容赦ない熱演が三浦翔平の才能を開化させ、倉科カナが一番悪女だった今期最話題ドラマ/『奪い愛、冬』最終回レビュー

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山菜採りからの急逝

 康太は早速光に復縁を持ち掛けますが、光の返事はNO。この先、信さんに何をされても憎むことはないそうです。悲劇のヒロインに酔ってるように見えなくもない。光と康太は、しょぼくれた気持ちを持て余しながらそれぞれの実家に帰っていきました。光の母・麻紀が娘にはっぱをかけるのはいつものことですが、さすが最終回。ヤバすぎる毒親ぶりを発揮していた康太の母・美佐(榊原郁恵)までまともになってしまいました。

美佐ママ「康太、こっち向きなさい。康太が光さんのこと愛しているように、母さんだって母親として康太のこと愛してるの。母さんだって気持ちを康太に理解してもらえずに苦しいの。礼香ちゃん(ダレノガレ明美)だって同じよ。自分の愛が伝わらずに苦しんでるのは自分だけじゃないの。みんな同じ。生きててみんな絶対どっか苦しい。自分だけじゃない」

 急にお母さんらしくなっちゃって! 「康ちゃん」じゃなくて「康太」と呼んでいましたね。まあ、今さら郁恵ちゃんが真剣な表情まともなこと言ったところで視聴者的には説得力ゼロですが、康太の心には響いたようで何より。

 その頃、蘭さんを選んだはずの信さんでしたが、夫婦の自宅へ帰るとウキウキの蘭さんに「蘭さん、今までありがとう」と告げます。???

蘭さん「何、今までありがとうって、何、何、どういうこと?」

 蘭さんじゃなくても「何?」連呼したくなるところですが、なんと信さん、2人きりの時に“最後のお礼”をしたいってだけのために駐車場で蘭さんを選んだらしいです。信さんはやっぱり「光と一緒に生きたい」。当然のごとく蘭さんは「あたしは妻よ~~~」と大発狂ですし、視聴者としても「御礼なんて駐車場で言っとけよ! 蘭さんを糠喜びさせてんじゃねえぞ!」と文句をつけたくなるところです。どうしても光に看取ってもらいたいし、気持ちに嘘をついたままこの世を去っていくのが嫌な信さんは、蘭さんがロングヘアをばっさばっさと切り落として恨み節を叫んでも取り合わず、振り切って去っていきました。「優しい男」と形容することも不可能ではないかもしれませんが、自分の言動を周囲がどう受け止めるか把握できてない信さんが、全ての元凶ですよね。

 信さんの面倒くささはまだ続きます。今度は喫茶店に康太を呼び出し「俺のことを殴ってくれ! 俺のせいで君のことも沢山傷つけた」と懇願。病人を殴れるかよ、と康太が断ると、信さん「だったら……」とテーブルに頭を打ち付けはじめ……。喫茶店が迷惑するよ。さらに信さんは康太に、光へ「明日の昼12時、俺は光を待っている」との伝言を頼みます。自分の命はあと3カ月で光にそばにいてほしいけど、光にとって何たらかんたら……御託ならべてる信さんですけど、大事なことを人づてに伝えるってあんたクソだよ。電話でもメールでもLINEでもいいから自分で光に言え。

 「ふざけんなよっっっ!」ってブチ切れの康太でしたが、郁恵ちゃんに諭された康太はもう以前の康ちゃんじゃないようで、結局渡せずじまいだった婚約指輪を川に捨て、光を「来なかったら俺、死ぬから」と脅迫して教会に呼びつけ、信さんと光の再会を橋渡ししたうえ、「諦めるのはまだ早いわよぉっ!」と乱入を試みる蘭さんを制止! 康太がマトモになってしまいました~。おかげで教会にて光と信さんは「ずーっと一緒に」と前々回ラストと同じことを再び誓うことができました。

 とはいえ、蘭さんが離婚を承諾するわけなく、離婚届の提出はまず難しい二人。蘭さんは光実家に、切り落とした髪と針刺しまくりの人形&「お元気で」と書かれたメッセージを送りつけました。まだ残り時間15分ほどありますからね、蘭さんは最後の最後まで粘るはずっ、と視聴者はトイレにも行けません。

 3カ月後、光と信さんは、山奥の古い一軒家で2人幸せそうに暮らしています。余命3カ月だったのに、信さんは普通に外出しているどころか山菜採りまでしちゃって元気そうです。光は在宅でデザインの仕事をはじめましたが、いつ信がいなくなるか、怯えてもいます。「信さんと一緒にいられる代わりにその恐怖と不安を感じ続ける罰を受けているのだろう」と感じつつも、お腹には信さんとの赤ちゃんが……! 見事なまでのトントン拍子にもちろん信さんは大喜び、「今日という日を描きたい」と風景をスケッチしながら、生まれてくる子の名前を「春」に決めました。性別はたぶん……男の子だと予想し、自分亡き後の光を守ってくれるだろうと期待に胸を膨らませる信さん、ようやく光と暮らせるようになったことの喜びのあまり、精子を凍結したことをすっかり忘れているんでしょうか。めっちゃ元気そうに見えたのですが、信さんは雪が(控えめに)降りだす中、光の肩にもたれ「愛してるよ、光も、春も」と最期の言葉を遺して、目を閉じました。つい今さっきまで山で山菜採ってましたよね!?

 信さん的には、光が妊娠=自分に代わって光を守ってくれる存在がいるってことで安心したため息を引き取った……のかもしれませんが、蘭さんとの離婚は成立していないだろうし、であれば光のお腹にいる子は非嫡出子です。光の妊娠を知ったその日に亡くなった信さんは認知することも出来ずじまいなわけですが……ま、法的な事情は光も信さんもどーでもよかったんでしょう。死ぬほど愛した男・信さんを奪い返し、短い間とはいえ信さんと2人で幸せに暮らせて、死を目前にした信さんの精子は着床、信さんはもちろん大喜び、信さんが死ぬ時もそばにいることができて……。信さんの死は避けられませんでしたが、残酷な現実に直面しつつも自分にできる最善の結果を得られたともいえるヒロイン・光。あれ、わりとハッピーエンド? 光のハッピーエンドを望んでいた視聴者ってどのくらいいたんでしょうか?

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