なんだか、“不倫”なんて空気、全然感じなかったなー。みんな、やけにあっさりとしていて、ギラギラも、ガツガツもしていなかったなあ。そんなことを考えながら帰路についていると。前言撤回。なんと鈴木から、こんなLINEが来たのです。
<次に研修で都内に来るとき、教えてね。一緒にごはん食べよう。ナイフとフォークを使うお店がいいな>
堂さん宛のギラギラメッセージ、あんた送り先間違えているよ……。指摘してあげると、
<ごめんなさい。間違えましたm(_ _)m はるさんとは友達になりたいです!>
と、こっちがフラれたみたいな一線を引かれてしまいました。ぎゃふん!
さて、鈴木以外からも、数人からもLINEが続々。
<タイプだと思ったので、またゆっくり話せたらいいなと思いました>
<もっとゆっくり話ができれば良いな。今度ごはんでもどうですか?>
<近く会えるならお願いします。空いている日あったら教えてください☆>
なるほど、男性側は合コン中はギラギラせず、餌を蒔くときだけ勢いをつける。あとは釣り糸を垂らし、女性が食いつくのを待つだけ。虎視眈々と、水面が揺れる瞬間だけを、狙う。一方の女性側は、お腹が空いていなければ食べなくていいし、空いたときに餌をつんつんとするだけで、男性側がすぐ釣り上げてくれると思います。どちらも過度にエネルギーを使わなくて済むから、傷もつかない。それが、既婚者合コンの正しいスタイルなのかもしれません。まあ、その後に修羅場が待ち受けているかもしれませんが。
一番気になったのは、なぜ堂さんのような美人できちんとした女性が来たのか、ということ。堂さんは国家資格取得のため大学院に進学しました。となると、子どもの年齢的に、院卒と同時に結婚したのでしょう。「夫とは付き合いが長い」と言っていましたから、男性は夫しか知らない可能生もあります。あれだけ美人ですから、自分が美しい女だという自覚はあると思います。だけど夫はその価値を大切にしてくれず、行き場のない承認欲求が募り、ちやほやを求め、ここに来たのかもしれません。そんな、「週刊大衆」の名物連載漫画『感じる人妻』のような世界が、本当にあるんだあ。
どうか堂さんには、しょうもない男の釣り糸に引っかからないでほしい――そうおせっかいに願いますが、それって美人な女友達と一緒にナンパされるブスが断るときの発想じゃん……。既婚女性のみなさま、たまには既婚者合コンに参加して、自分のモテ力を再確認してみるのもいいかもしれませんよ。きっと、明日への糧になります。