いったんは明るく振舞い2階の自室に戻った広ですが、やっぱり麻子を追いかけて飛び出していきます。ノートには『行かないで 行かないで 行かないで 行かないで 行かないで……』と殴り書き。広にとっては3歳から10歳まで育ててくれた優しく温かく大好きなママである麻子に、突然突き放されたうえ二度と会わないとも宣言されれば、甚大なショックを受けるのも当然です。
しかし麻子ママは、何も説明してくれません。広に「ママ―!」と呼び止められると、敢えて広を傷つける言葉を選んでいるかのように、例の手紙とは真逆のメッセージをぶつけたのです。
「コウ、柏崎さんのこと新しいお母さんって言ったけど、新しいお母さんじゃないよ、あの人は。本当のお母さんだよ。本当のお母さんのとこ行きな。ママはもう淋しくなることはないから。誰かに会いたいと人は淋しくなるの。ママもう会いたくないから。疲れたから。忘れたいから。忘れたから」
広が幾度か「ママ」と呼び掛けるも、麻子は「ほら行きなさいって!」と態度を変えることなく、広を残したまま去っていきました。それにしても、3歳の時誘拐されたのはもちろん、事情も教えられずに施設で暮らすことになったり、かと思えば今度は生みの親と再会、育ての親から一方的に別れを告げられ……常に大人の事情に振り回されている広は、非常に気の毒です。大人もいっぱいいっぱいだけれど、広の心についた数々の傷はどうするんでしょうね。親って勝手なもので、親に傷つけられない子どもなどいない、それが自然なことなのだとも思うけれど、それでもこれはあんまりなので……。
しばらく泣き、“本当のお母さん”である結衣たちの待つ柏崎オートに帰る広を、木野が陰から見守っていました。木野もどうやら、ワケありのような臭いがしますね。一番のワケあり女である麻子は、ネットカフェの一室で涙を流しながら、スマホに保存されていた広の写真を1枚1枚消していきます。息子が自分たちにはまだまだ心を開いていないことを思い知らされつつも、あくまで前向きにいこうとする結衣と陽一。みんなそれぞれ必死……というところで三話は終了しました。
二話の手紙の文面からは、麻子がいずれは広を取り戻し(という表現も妙ですが)に来るのではないか、と思わされました。しかし事情が変わったのでしょうか。来週四話の予告では、広が結衣の手作り弁当をゴミ箱にぶち込んだり、麻子が服役していたというナレーションが入ったり、さらに込み入っていくことが示唆されました。まだ物語はほんの序盤。謎多き女・麻子に俄然注目してしまいますが、いつか広・麻子・結衣は何らかのバランス良い関係を築くことが出来るのでしょうか。結衣はどうやって「母になる」のでしょうね。
【試写レポート】テレビドラマにおける母親という存在の描かれ方
【第一話】沢尻エリカ演じるベタベタ清純派の良妻賢母が宿した小さなリアリティ
【第二話】3歳まで育てた産みの母は「何も知らないおばさん」…育ての母の強烈な手紙
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