バカリズムの<女disりコント>は2015年に大反響を呼んだ。『ENGEIグランドスラム』で披露した「女あるある」は、カフェで「あーあ、女子力高くなりたい~。あー高くなりたいな、女子力」「ほら私中身が男じゃん? 中身が男じゃん? 男なのね? 男なのよ」「ほら私恋と仕事だったら仕事を選んじゃう人じゃん? 人じゃん? 人なのね? 人なのよ」等としゃべり続け、パンケーキに「おいしそぉぉ~~~」と歓声を上げ何度も自撮り、トイプードルにはしゃぐ……といった“女子”をオーバーに表現し、「すごい悪意!」「スイーツ女のイメージを具現化してる」と話題に。ナインティナイン矢部浩之は「大嫌いな女性のタイプを全部集めたてる。一番ストレス発散できた芸人でしょうね」とコメントしていた。
それから2年、ドラマ『架空OL日記』で本物の女優たちと共に“女子”を演じているバカリズム。ドラマではオーバーアクションをせず、地味な普通の銀行職員(窓口業務)を淡々と演じている。とりたてて悪意は感じられないし、同じような職務環境の女性にとってはリアルなのかもしれない。一方で、コントのようにわかりやすく馬鹿にしてはいないにしろ、バカリズムの目にうつる“女子”“女子らしさ”はすごく典型的なそれで、バージョンアップされていない。
ジェラートピケの部屋着で寝ている、地元の駅から40分かけ満員電車で通勤、非常に寒がりでハロゲンヒーターなしではいられない、非現実的な会話に花を咲かせる(どこでもドアがあったら買うよね、等)、会社帰りにアトレでお買い物、カフェでケーキを食べながら旅行計画を立て、副支店長の愚痴大会(何を話していても必ず最後は愚痴大会)、というのが第一話の女子たちの行動であった。彼女たちはおそらくそんなに多く給料を得ているわけじゃないはずなのに、なぜか小金はあって(ある、というイメージで)消費的である。そういう“女子あるある”は、女性ファッション誌やwebサイトで繰り返しなぞられてきたもので、<男が想像する女子>の多数派だ。その想像の域を全然出ていない。そこに物足りなさを感じる。
(ボンゾ)
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