というのもGACKTがMALICE MIZERを脱退した時には、かなりの悶着があった。GACKTは脱退が発表される少し前に一時的に姿を消していたため、その頃MALICE MIZERはGACKT抜きの状態で雑誌に登場し、世間では「GACKTは失踪した」との噂が広まっていった。
その後、正式に脱退が発表されてすぐにGACKTは音楽雑誌で真相を語ったのだが、これも大問題を巻き起こした。GACKTの言い分では、大きなライブがひと段落した後、まだまだ動き続けたいGACKTと、休憩したい他のメンバーですれ違いが起きてしまったようだ。動き続けようとするGACKTを、他のメンバーがソロをやりたがっていると誤解したために、話し合いを拒絶されるほどどうしようもない亀裂ができてしまったとのことだった。
しかし他のメンバーがGACKTの言い分をすぐさま別の音楽雑誌で否定。「休みたいとは言っていないし、そもそもGACKTが活動を続けたがっていることも知らなかった。追い出されたかのように語っているのがおかしい。歩み寄っていったけど、離れていったのはGACKTの方だった」と主張した。双方の言い分は完全に異なる。
こうして真相はうやむやになり、他のメンバーの言葉を信じるファンはGACKTを裏切り者と捉え、GACKTの言葉を信じるファンは他のメンバーこそ裏切り者だと捉えるに至った。この認識の違いは今も変わっていないようだ。
そんなGACKTだからだろうか、彼がSMAPの解散騒動に関してブログで激高していたことも記憶に新しい。16年の1月、SMAPに関する憶測がさまざま飛んでいる中で、“裏切り”という言葉に強い嫌悪感を示し、「この言葉を第三者が憶測で書き連ねることほど、胸くそ悪いことはない。これは、当の本人達のみが胸に感じることであり、第三者がとやかく言う言葉ではない」と綴っていたのだ。芸能界に限らないことだが、当事者にしかわからない、当事者にもわからないことが山ほどある。片方だけが嘘をついているのではなく、お互いの認識が違っているゆえに合意できず決裂してしまう。当人のみならず、ファンにとっても遺恨しか残さない、悲劇的だがどうしようもない現実だ。
(プラント)
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