先週ご紹介したMIDORIさんのトークイベントでも、“いやだけど断れない日本人女性”がテーマに上がりました。「断ると逆上した男性にひどい目に遭わされるのではないかと思うと、強くノーといえない」という意見が出たほか、外国人女性からは「日本人女性とバーに行ってナンパされたが、彼女はイヤなのにノーをいわず笑ってごまかしていた。男性が本当にしつこくても断らないから、最終的に私があいだに入って拒否した」という体験談も披露されました。
日本特有の「空気を読んで察してもらう文化」や以前のコラムでも採り上げた「女性がはっきりとノーを伝える言葉を持たない文化」は私にもしっかり染み付いています。
身を守るときにルールはいらない
同書ではアスピーガールたちがノーをいえないままだと「利用されやすく、危険な目に合う確率が高くなってしまいます」と忠告しますが、これは私たちも当てはまりますし、一部の男性はまったく悪気もなく、すごくナチュラルに女性のこうした一面を利用します。
同書では段階的に「ノー」をいえる自分になるための提案がなされています。重大な被害を受けそうなときは「常に礼儀正しく」「ウソをついてはいけない」「大声を上げない」などの社会的ルールを破っていいとも書いてあります。それ自体が女性の負担になることもあるので、自分という人間が“何をしてでも守られなければいけない存在”だという前提が必要なのです。
後半になると同書でも、性器の名称や避妊、感染症予防など日本の性教育“でも”習うことが出てきます。でも私たちが性について知るより先に身につけておくべきことがあると知るうえで、本書はとても有効です。本来なら読者として想定されているよりもずっとずっと年上の私にもこんなに気づきが多いのですから、年若い女性たちはどれだけ励まされるでしょう。
大切なことは何も教えず知識だけ授ける日本の性教育の貧しさへの新たな憤りがわいて来そうなのですが、そちらはグッと抑えつつ、性についてツラさ、息苦しさを感じたことがあるすべての女性に読んでほしい1冊として推薦します。
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