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興行収入予測100億狙いのはずが…木村拓哉主演『無限の住人』ガラ空きの悲哀

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 公開前、木村はこの作品のために大々的にPRキャンペーンを展開した。京都、広島、熊本など10年の映画館を訪問しており、そのPR費用だけでも合計1億円もかかっていたのだとか(もちろん木村は宣伝のためなのでノーギャラである)。テレビのバラエティ番組などにも積極的に出演し同作品を宣伝した。そのためネット上には「キムタクが最近出過ぎていて、映画の公開前からもう飽きた」という辛辣な声も多く溢れてしまった。かつてはなにをしても誉めそやされ憧れられていたスーパースター・木村拓哉。SMAP解散騒動で一転してヒールとなってからというものの、なにをしても裏目に出てしまっていて、気の毒になる。

 さて肝心の映画はというと、原作についてはまったく知識がないまま鑑賞したが、それなりに楽しめた。だが30巻にも及ぶ超大作を2時間にまとめているのだから、原作に比べると深みがなく物足りない仕上がりであるだろうことは想像できる。さらに言うと、原作の人気キャラを無理矢理入れたために映画ではまったく生かしきれておらず「この人出てくる意味ある?」と思う登場人物も数人いた。

 では主演の木村はどうであったかというと、スクリーン登場時、まず最初に感じたのは失礼ながら「全部が短っ!!」という感想だ。こんなに背が低かったけ? 脚も短くない? と驚いたのが正直なところ。姿かたちを売りにする役柄ではないため(つまりイケメン役ではない)、それはまぁ良しとしても、演技はどうかというと……まったくもっていつものキムタクである。セリフまわし、間合い、仕草……すべてにおいてキムタク全開だった。三池崇史監督のユーモアなのか、木村の代名詞とも言える「ちょっ、待てよ」というセリフも作品内にある。

 たしかに何から何までキムタクで変わり映えしないのだが、ただそれを差し置いても彼の殺陣はなかなか素晴らしかったと思う。各雑誌のロングインタビューでも木村は、いかに本気で殺しあうか腐心したと熱く語っていた。過酷な撮影現場だったため、撮影中に右膝じん帯損傷の怪我を負ったという木村。あの殺陣(しかも特殊メークのため独眼である)の迫力ならなるほどそういうことも起こるだろう、と思えるものがあった。筆者としては木村の殺陣については素直に評価してもいいように思うのだが……。ただ「永遠の命」を持ってしまった男の悲しみが醸し出せていなかったのは致命的だった。そこがテーマなのだから。出番が少なく、なおかつ声がこもっていて若干セリフが聞き取りにくかったにも関わらず市川海老蔵(39)のほうが表現力は上であったように思う。

 筆者は三池監督作品のなかでは断トツに『13人の刺客』が好きである。『無限の住人』も『13人の刺客』同様に斬って斬って斬りまくり殺陣を存分に堪能できる物語であるゆえ、公開は密かに楽しみにしていた。まさか初日に張り切って観に行くことになるとは考えてもいなかったが、それでも公開期間中には必ず鑑賞しようと決めていたのだ。だが『無限の住人』を鑑賞した上でこの2作品を比較してしまうと、『13人の刺客』に出演していた役所広司(61)と山田孝之(33)がいかにすごい役者であるかを改めて痛感してしまう。かつて同じSMAPで活躍した稲垣吾郎(43)もこの映画で狂気の暴君を見事に演じきることで演技者としひと皮むけて新境地を開いた。稲垣の暴君があまりに強烈で印象的だったために、ひょっとすると木村も三池監督の手にかかってこれまでとはまったく違う演技を見せてくれるのでは?? と期待していたのだが……そこはとっても残念な結果であったと言わざるを得ない。

 鑑賞後は木村よりも、木村同様に劇中出ずっぱりであった女優・杉咲花(19)の可憐さと巧みな演技力が印象に残った。まるで『マッドマックス 怒りのデスロード』のイモータン・ジョーみたいな仕上がりになっていた北村一輝(47)の怪演も光っていたと思う。というわけで、筆者としては、大コケに終わってしまうのはもったいないと思う。チャンスがあれば鑑賞をオススメしたい。ただしグロが苦手な人は気をつけましょう。なんせ全編通してどろどろ血みどろなのだから。

(エリザベス松本)

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