
たちの悪い冗談だな~と。
世間に長らく出回っている言葉(結婚用語?)として「結婚は人生の墓場」というものがある。この言葉を残したフランスの詩人、シャルル・ボードレールに悪気はなかったはずだが、今では結婚することによって、あれやこれやと責任がついてまわりその結果不自由になる……と解釈されている。「婚活」なる言葉が登場する、そのずーっと前から存在している“明言”だが、「結婚は人生の墓場」に対する男性の本音や、男性からそう思われないためのアドバイスを紹介している<女性向け>の記事を読んだ時にはめまいがした。マイナビウーマンによる『「結婚は人生の墓場」に対する男性の本音まとめ』というものだが、専門家監修というお墨付きだ。
■「結婚は人生の墓場」に対する男性の本音
■「結婚は人生の墓場だ」は嫁次第? 男性に結婚を後悔させた「嫁の言動」
■女性必読! 男性から「結婚=墓場」だと思われないように気をつけること
もうこの小見出しだけでヒィィィィィと血の気が引いてくる。男性の本音、あるいは女性の本音をこのような形で可視化することに何の意味があるというのだろう。お互いへの不信感が募るだけのように思うが。
22~34歳の独身男性407人、22~39歳の既婚男性401人を調査したアンケート結果によると、独身男性のうちの3割、既婚男性のうちの2割が「結婚は人生の墓場だ」と思っているとのこと。そして、その理由はさすが「本音」なだけあって身勝手そのものだ。結婚に対して夢・理想・こだわりが強いのは女性よりもむしろ男性なんじゃないか。コメントを一部紹介すると、
「最近では女性の方が社会的にも家庭的にも優位になっていると思うので、よほど惚れていないと男が結婚するのは難しいと思う」(33歳/その他/販売職・サービス系)
「ATM化。趣味のコレクションの廃棄、自由な時間と金銭の激減。亭主元気で留守がいい」(34歳/その他/その他)
「幸せというのは永久に続くものではないから。むしろ一瞬の輝き、たとえば結婚する瞬間とかそういうときに感じるものが幸せの本質だと思うから」(33歳/その他/事務系専門職)
この調査対象の407人中3割が、結婚にネガティブイメージを強く持っていることは伝わる。「女性の方が優位」かどうかは夫婦の関係性次第だし、まさか「社会的に女性優位」に感じる根拠を女性専用車両やらレディースデイに求めてはいないだろうな?
既婚男性が「結婚は人生の墓場」だと思っている理由は、<もう自由に恋愛できないから><制約が多く不自由だから><妻が変わってしまったから>と、男女逆にしても成立しそうだけれども普通言わない、これまた本音満載だった。
「自由に恋愛することができなくなり、人生の大きな楽しみが減るから」(38歳/団体・公益法人・官公庁/その他)
「結婚すると家に拘束されるので、自分の時間を持てない」(38歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
「理想と現実はちがうし、相手も子どもが生まれたらまったくちがう人間になる」(38歳/情報・IT/技術職)
だったら結婚するなって話だ。結婚は「生活」であり、望んで家族になった以上は相手に迷惑や負担をかけないように自分勝手な行動を慎むものだと思う。家族を持ったけれども好きに外泊したい、休日は一人または友達と出かけたい、という人もいるだろうが、それなら最初に「家族の時間よりソロ活動を優先させよう」と話して相手を納得させておけばよいのではないだろうか。それでも子育てをするとなれば、独身同様のライフスタイルを維持するのは難しいが。結婚によってそういった制約や不自由が生じるのは、男(夫)だけじゃない。男(夫)も女(妻)お互い様だろう。
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