“トロフィー・ワイフ”という言葉を耳にしたことがありますか!? 男性が自分の社会的地位の高さを誇示するために、若く美しい妻をめとって見せびらかすことです。優勝者が手にする ‟トロフィー”のような女性のことを指す言葉ですが、男性って何と戦ってるんでしょうね。
自分よりかなり年下の妻を見せびらかすということは、トロフィー・ワイフを連れて歩くほとんどの人が、年配の男性である場合が多いです。地位もお金もない年かさの男性のもとに若くて綺麗な女性が近づくことはない(と思われている)ため、「トロフィー・ワイフがいる=成功した金持ち」のアピールになるわけです。周囲の男性は「いいなあ~」と羨望の眼差しを向けるそうで、トロフィー・ワイフは男性自身のエゴとプライドを満たす存在なんだそーです。
バービーにツノが生えた!
なんでこんな話をしているかと言いますと、世界的なファッションドール「バービー人形」が、トロフィー・ワイフになったからです。大きな胸にくびれまくったウエスト、細くて長い手足、大きな目、ツヤツヤしたブロンドヘアの美女であるバービー(私はリカちゃん派でしたが)。そんなバービー人形を素材にしたアート作品「トロフィー・ワイフ・バービー」を作り出したのは、南アフリカ出身のコンセプチュアル・アーティスト(概念芸術)のアナリス・ホフメイヤーさん。※アーティスト名WIT MYT(ヴィット・メイト)でも活動中。
アナリスさんが作品をweb上に最初に公開したのは、自身の離婚が成立した日。バービーがボーイフレンド・ケンの頭部を持つ(生首)写真をSNSにアップし、「離婚が成立したわ!」のコメントを添えました。ここから、トロフィー・ワイフだったバービーが、男を飾るための妻じゃなくひとりの人間として生きていることを示すような作品を、アナリスさんは複数発表していきます。
これこそが、リアルな女性?
トロフィー・ワイフに限らず、男性が描く女性像(というか理想像でしょうけど)を聞くと、驚くことがあるんですよね。さすがに、昔のアイドルが仮託されていたような「トイレは行かないんだろう」とか「絶対に処女なはずだもん!」なんてイメージを未だに持っている男性は少ないにしても、「自己主張しそうな女はイヤだ」とか。自己主張しない人間っているのかよ! ネットじゃなくリアルで「そもそも女性の体毛は薄いものでしょ? え? 基本的にツルツルなんじゃないの!?」「生理ってちょぴっと血が出る日があるんでしょう?」と成人男性に言われた時にはおったまげたものです。
その都度、筆者(30代女性)は「体毛なんか、放っておけばジャングル状態の人なんか数知れずいるぞ! こちとらお金と時間をかけて“ツルツル”を作り上げているんだよ!」「ちょぴっと血が出る日があるだと? 精子じゃないんだぞ? ナプキンから漏れ、パンツをも超えて洋服に血が滲むほどの時もあるんだぞ。そして、鈍痛とともに数日続くんだっつーの!」と訴えましたが、「お前は女じゃないもんな」「コイツが珍しい生き物なんだ」くらいに思われているかもしれません。それくらい、<女>という性にこびりついた妙に綺麗なイメージは強固です。男性が高く評価する女……すなわち若く美しい女性には特に「毛など生えない」「イイ匂いがする」などイメージを実現すべく手入れすることを求め、そうでない女性には「女失格」の烙印を押せばいいだけなのです。もし女が全員その土俵を降りてツノを生やしたら、社会的に<女>が付託されてきたイメージがいかに非人間的な扱いだったかがわかるのでしょうか。
★アナリス・ホフメイヤー(wit_myt)Instagram
★「trophywifebarbie」HP