「恋愛相手ではなく、自分と向き合う」に専念できたのは、「稼ぐ女」だったから
まずイタリアでは「何もしないことの素晴らしさ」を学び、パスタ、ピザ、ワイン、ジェラートなどを食べたいだけ食べ漁ってデブ化。ワンサイズ大きいズボンを新調した自分を笑ったりと、気ままに暮らしました。そして、イタリアの「壊すことも大事」という文化に触れ、喧嘩ばかりしていた新彼と別れられなかったのは「破壊を恐れていただけ」だったことに気付き、メールで別れを告げます。その後、「一年は恋愛禁止」と自分に課し、インド、バリ島でもいろんな人との出会いを通してさまざまなことを学んだエリザベス。一年が終わろうとする旅の終わりに、バリでブラジル人のダンディな男性・フェリペと出会い、運命的な恋に落ちるのです。
要するに、「恋愛、結婚に失敗して、心の平和を取り戻すために『自分探しの旅』に出る」という何とも贅沢でバブリーな旅。もし、日本の中途半端な女性タレントが同じ旅に出たら「日本で自分がわからない人が、海外に行ったところで何も見つかるわけない」「ただ海外でぶらぶら遊びたい社会性のない人がすること」なんてバッシングの格好の標的となるでしょう。
確かに、地位も名声も財力もない良い年した大人が「絶望を味わったから」とエリザベスと同じ旅に出かけた場合は、ちょっと恥ずかしいですし、そもそもお金がないんだから“同じ旅”などできるわけがありません。この旅は、彼女自身が「稼ぐ女」であり、経済的に自立していたから実現したのです。自分で選んで「食べて、祈って、恋をして」いくためには、お金が必要なのです。
「一年も海外を旅できるなんて羨ましい。気楽な女性の話だな」と思われるかもしれませんが、彼女は現在の地位をやすやすと手に入れたわけではありません。エリザベスも、若い頃は「一生ウエイトレスだったらどうしよう」という恐れを抱きながら執筆していたといいます。また、自分は特別な才能があるのではなく、毎日コツコツと机に向かうことで作家になることができた、とも述べています。つまり、彼女の旅は努力なくしては実現しませんでした。