テレビ朝日の青山愛アナウンサー(28)が今年7月での退社を発表した。すでにワシントンD.C.にある政治学、国際関係学の分野に力を入れている難関大学への留学が決まっているという。だが、このエースアナウンサーの退社は、局内におけるセクハラめいた“女子アナ”扱いがキッカケになっているのではないかと、今週発売の「週刊文春」(文藝春秋)が報じている。
三井物産に勤める父親の仕事の関係で、3年間アメリカで過ごしたのち、京都大学経済学部に進学した青山アナは、在学中からペンシルバニア大学への留学や、モンゴルへのボランティア活動など、海外に関心が向いていた。こうした経験から報道キャスターを志望し、テレビ朝日に入社。『報道ステーション』でスポーツキャスター、お天気担当として活躍するが、昨年4月から『マツコ&有吉の怒り新党』の司会担当となり、報道畑からバラエティ畑へと転身していた。
傍からは局アナとして順当なレールに乗ったように見えたが、当の青山アナは「アイドルみたいに扱われるのが嫌だ」と周囲に漏らしていたのだという。また『やべっちF.C』の関係でサッカー選手との飲み会に駆り出され、お酌をさせられたり、倒れるまで飲まされたりと“散々な目”に遭い「私はホステスじゃない!」と怒り心頭だったのだという。これらの出来事が退社を後押ししたのだ、と関係者は「文春」にコメントしている。もともと青山アナは7~8年したら退社して海外に出て就職したいという意志も持っていたというが、くだんの出来事は『日本で女性がアナウンサーとして生き抜く』ことがどういうことなのか、彼女が熟考し、退社時期を早めるキッカケになったとしてもおかしくはないだろう。
女子アナとセクハラについては過去messyでも取り上げたことがある。2013年に放送されていた『朝ズバッ!』(TBS系)で、司会のみのもんた(72)が吉田明世アナウンサー(29)の腰に手を回し、それを吉田アナが手で振り払うセクハラ行為の一部始終が生で放送され話題となった(https://mess-y.com/archives/2838)。フリーアナウンサーの亀井京子(34)はかつてテレ東の局アナ時代にスポーツ番組を担当していた頃、冒頭であいさつする際に胸の大きさを強調するよう撮影され、現場スタッフの間で「上乳カット」「横乳カット」などと呼ばれていたことをバラエティ番組で明かしている。しかもこうしたカットがキャプチャされネットに出回れば今度は上司に呼び出され「下品すぎるから隠せ」と胸元について注意を受けたのだという。結果、ガムテープを貼るなどして胸が目立たないよう対策していた(https://mess-y.com/archives/27724)。また青山と同じテレ朝・竹内由恵アナウンサーのインスタグラムにセクハラまがいのコメントが溢れていることは先日取り上げたばかりだ(https://mess-y.com/archives/44867)。
モデルや女優、歌手などの女性芸能人と異なり、いわゆる女子アナのインスタアカウントへのコメントはおおむねセクハラ色が強く、男性らが“女子アナ”を“性の対象として何を言っても良い”と認識している様が見える。一般にもそうした認識が広まっているのだから局内でも同様に、“女子アナ”は男性スタッフ(および男性視聴者)を喜ばせる性的アイコンという位置付けなのかもしれない。元局アナがフリーに転身し、しがらみから離れればある程度は内情に暴露できるが、まだ社に属していれば公に声を上げることは出世に影響するため、はばかられるだろう。今回のように報じられた、局の女子アナに対するセクハラ報道は氷山の一角であり、おそらく日々、セクハラに悩む女子アナは少ない人数ではないのではないか。ちなみに「文春」の同じ号ではNHK山形での契約社員(一年契約の女子アナ)へのセクハラ・パワハラも告発されている。
また“女子アナ”だけでなく、女性社員をセクハラ要員だと思っている男性は他の業界にも存在している。青山アナのように、男性へのお酌をするように指示されたことのある女性は多いだろう。古い価値観の上司が幅を利かせる飲み会では、飲みっぷりが良く、ときに一気飲みなどで“男気”を見せる男性社員が気に入られ、女性はセクハラまがいの会話やボディタッチなどに拒否しないことを求められることがある。あと10年、20年すればこの最悪な状況にも変化が訪れるかもしれないが、この現状を憂い、海外での活躍を目標に据えて日本を離れる青山アナのように、その頃は有能な女性たちが日本の企業から離れているかもしれない。