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『2013FNS歌謡祭』はこぶしとシャウトの戦いだった!? お腹いっぱいの見どころプレイバック

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『2013 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)公式HPより

『2013 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)公式HPより

 毎年さまざまなアーティストたちによる異色コラボが話題になっている『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)。私にとっては毎回とても楽しみにしている番組のひとつであり、今年もあと1カ月で終わってしまうということを、ひしひしと感じさせてくれる音楽イベントでもある。

 昨年の放送で度肝を抜いたのは、やはり平井堅であった。チベットあたりの民族衣装をまとった真顔の堅の肩には、なぜかオウムのリアル人形が止まっていたのである。それだけでも相当シュールだというのに、彼の背後には日本舞踊と阿波踊りのダンサーたちが溢れかえっていたのであった。なんと斬新過ぎる演出だろうかと、心が躍った次第である。

 その他にも、ノリノリ過ぎて心配になるくらいにはしゃいでいた玉置浩司が出演していたり、芸能界復帰は難しいと思われていた華原朋美がディーバとして見事復活を果たしたりと、見どころが多すぎてお腹いっぱいになった。

 そんな同番組が今年も魅力的な出演者たちによっていろんなドラマを見せてくれた。12月4日に19時から4時間超えで放送された『2013FNS歌謡祭』(フジテレビ系)では、SMAPがトップバッターで「SHAKE」(ビクターエンタテインメント)を元気よく歌い上げるシーンから始まった。

 今年は「お・も・て・な・し」が流行語大賞のひとつに選ばれて、ノリに乗っている滝川クリステルがMCとして初登板していた。この番組で女性MCに課せられている(?)、お馴染みの“頻繁な衣装お色直し”にも果敢に挑戦するのだった。美形のクリステルであるから、何を着ても似合っていて美しかったのだが、着替えに集中したせいか、マイクを忘れるというミスを犯してしまった。

 完璧に見えたクリステルが「マ・イ・ク・な・し」に気付かず話し出してしまい、直後に「ハッ! どうしよう!」と自分の手にマイクが無いことに気付き赤面してあたふたしている姿はとてもカワイイものであった。ってか、スタッフ~! クリステルの美貌に夢中になっててマイクを渡し忘れないで~!

 今回の『FNS歌謡祭』の目玉は、やはり放送前から話題になっていた「華原朋美と小室哲哉の15年ぶりの復活コラボ共演」であったのだろう。かつて恋人同士であった二人が破局を迎え、それぞれの道を歩むことになってから15年もの月日が経っていたのだ。もうそんなに時間が経っていたのかとビックリしてしまったが、片や結婚・離婚・再婚を経験し、もう一方は薬物依存からの脱却のために壮絶な日々を送っていたということで、お互いに波乱万丈な15年を過ごしていたようである。

 その二人が満を持して、『FNS歌謡祭』という最高のステージで感動的な復活コラボレーションを見せてくれた。小室さんのピアノ伴奏を背にして「I’m proud」(ORUMOK RECORDS)を、感情たっぷりに歌い上げた朋ちゃん。「あぁ、昔よく見た懐かしいシーンだなぁ」と視聴者の多くが思ったことであろう。朋ちゃんは、当時と同じパッツン前髪でこの晴れの舞台に挑むという再現演出も見せていた。

 続けて歌った「I BELIEVE」(ORUMOK RECORDS)の、「ずっと前から あなたをきっと見ていた」という歌詞に、元恋人である小室さんの顔がチラついてしまい視聴者側としてやや気にはなったのだが、朋ちゃんはすでに小室さんのことは吹っ切れているようであった。当時よりも伸びやかな歌声と力強い彼女の瞳からはディーバとしての自信が伝わってくる感じがした。

 朋ちゃんは2人の想い出の2曲を歌い終わると、振り向いて小室さんに駆け寄って行き、

「今まで迷惑と心配ばかりかけて、ほんとすみませんでした」
「これからは、ちゃんと前を向いて歩いて行けそうです」

 と、誠実に今の気持ちを伝え、小室さんと握手を交わして涙を拭う仕草をするのだった。この謝罪のくだりはどうやら番組の台本には無かったようで、小室さんはそのハプニングに驚いた様子で「頑張ってください……」と言うのがやっとだったのか、そそくさとステージを去るのだった。

 そんな感動巨編の直後に、延髄斬りでぶっ壊しに入ったのが、歌手ではなく脚本家で映画監督の三谷幸喜であった。「イン・ユア~・ポジション~・セ~~ットッ!」と大声を発し、AKB軍団を従えて「Beginner」(キングレコード)を踊りながら歌うのだった。う、た……? 歌というか、あれはミュージカルであったのかもしれない。そうさ、きっと三谷劇場だったのだ。ミュージカルだったと思えば、やりきれる感じがしたが、なかなかの破壊力であった。

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テレ川ビノ子

テレビが大好き過ぎて、頼まれてもいないのに勝手にテレビを全般的に応援しています。おもしろテレビ万歳!