なにより、この写真集で大変なことになっているのは、藤原さんのヌード。服をすべて脱いで、シャワーを浴びるカットが収録されています。藤原さんは、体毛がほとんど生えていないきれいな肌(ワキ毛も薄い!)。マッチョでもなく、痩せ型でもない、ちょうど良い身体です。なんて言ったって、肌が水を弾いています! まあ当時25歳ですからね。身体を洗いながら、カメラに屈託ない笑顔を向ける藤原さんは、良い意味で“舞台を降りればだたの男”感にあふれていて、とても良き……! ヘアスタイリング剤のボトル1本でイチモツを隠すという芸当もあって、ホントびっくりの連続なんですよ、ロンドンは。
巻末にある篠山紀信さんとの対談で、藤原さんはこの写真集について「外見ではなく、どこまで内面をさらけ出せるかというのがひとつのポイントだと思ってて」「内面から魂からこぼれ出るという意味で、ある意味『射精』だったと思います(笑)」と撮影を振り返っていました。射精……! この“射精”について、篠山さんは「射精という、自分の中にあるものを全部吐き出すという快楽。そして、それは次の生へ向かう一種の死でもある。そこへ向かう、その一瞬を撮るということがいいんじゃないか」と提案し、藤原さんも応じたといいます。
確かに、この写真集は藤原さんをキレイに撮るということはあまり意識していないように感じます。ロンドンの海辺で座り込んでいるカットでは、ジーパンからパンツが見えていたりしましたし。全体を通して見ると、どことなく藤原さんの人間らしさに触れられる一冊。俳優人生10年目という節目に“射精”して、その時の内面を見せてくれた藤原さん。この作品以降、写真集の発売はないのですが、ぜひ20年目の“射精”も見てみたいと思いました。
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