
果たしてちんぽは届くのか。イラスト/大和彩
よお、また会ったな。子宮だ。いま夢子は、怪しいヤリ目サイト経由で知った自称「クンニ上手」のQとラブホテルへ向かっているところだ。
Qはホテルに入る直前になってもそわそわと落ち着きがない。「スタイルよくなくて……」としつこくくり返す彼を励ましつづけるのに、夢子はいい加減うんざりしていた。
ストッキングを履いてきたことに対しては、Qからはなんの言葉もない。別に「ありがとう」といわれたいとか、褒められたいとかまでは望まないにせよ、ちゃんと約束を守ったことに対してねぎらいがあればありがたいのにな、と残念に思いつつホテルの入口をくぐった。
そこは上がりかまちがついている部屋で、一段上がったところに部屋履きのスリッパが置いてある。当然のように履き替えようとしたときに、Qはうれしそうにいった。
「靴は脱がないで、そのまま部屋に上がって」
「なんで?」と聞いても「いいから、いいから」としかいわない。そんなQは満面の笑みである。だが、わざわざスリッパまでおいてある部屋に靴のままドカドカ入るのは夢子にはどうしても抵抗があった。構わず靴を脱ぎかけると、
「あーーーっ! ダメ!」
とQが素っ頓狂な声を出す。無難に見えたQの、駅からホテルまでの短い時間のあいだに喜怒哀楽すべての感情を示すあり様に、ようやく夢子は違和感を感じるのだった。
「シャワーを浴びないで!」
仕方ないので夢子が上がりかまちのそばにある椅子に腰かけると、Qは「もう……仕方ないなあ」といいながら自分だけ部屋にあがった。
先ほどまでとは別人のようにきびきびとした動作で靴を履いたままの夢子の足を持ち上げ、靴から抜き出した。つづいて、ストッキングに包まれたその足をおもむろに自分の鼻に押し付け「ずずずーーーー」っと音をたてて匂いを嗅いだ。
夢子は動揺した。こんなプレイをされるなんて聞いていない。先にいっておいてほしかった。足を引っこめようともがいたが、Qによってしっかりホールドされていてできなかった。Qはウキウキとストッキングをはぎとり、そのまま足を舐めだした。
なめくじが足の指をはっているような不快感である。嫌悪感ばかり募った。夢子は自分の足を力づくで奪還し、こういった。
「このプレイはやめよう」