Qはホテルの滞在時間中、ちんぽをだらんとさせたままねちっこく夢子の陰部を舐めつづけただけだった。
「私がブスだから勃起しなかったんだな」
勝手にそう納得しているとQが無言でシャワーを浴びにいったので、夢子も続いた。シャワーを浴び終えた夢子が部屋に戻ると、なんと、そこには誰もいなかった。Qが着ていた服もなくなっている。
一瞬、事態を呑み込めなかった。置き去りにされた? それとも何か事情があった? もしや私が知らないだけで、男女の営みにおいてはこれが普通?
「あの情緒不安定なQと帰り道にトークする自信もないし、ひとりのほうが気楽でいいか……」
夢子が混乱する頭のまま着替え、歯をシャコシャコ磨きながらなんとかこの事態をポジティブ転換しようとがんばっていたらガチャリとドアが開いた。
豹変する男
顔をしかめたQだった。彼は入ってくるなり怒鳴った。
「あのねえ! あなたねえ! こんなに綺麗なからだしてるのに!! すごくオレのタイプなのに! なんで嗅がせてくれないんですか! クンニも痛いっていうし! 布団かぶっちゃうし舐めさせてくれないし!」
支離滅裂だった。
「私が痛い思いしてもいいの?」
「男は繊細なんですよ! 傷つくんだよ! 電気も消しちゃうし! 謝る気、あるんですか!」
Qは声を荒げつづける。
「なんで私が謝らなきゃいけないの? 私はあなたの望みどおりストッキングも履いてきたし、靴を履いたまま部屋にあがって、足も嗅がせてあげたじゃない。それにQさん、いっぱい舐めたよね」
「でも痛いっていったじゃないかぁぁ! こんなにタイプなのに! 謝れ!」
「ねえちょっと待って、あのさあ、私が何を謝るの?」
Qが激高しながら何をいってるのか、夢子にはまったく理解できなかった。夢子の質問に答えることなく、Qは「キエーーーーッ!」と奇声を発し、ホテルに備え付けの椅子を蹴飛ばしたかと思うと出て行った。
夢子はぽかんと見送るしかなかった。口に入れたままの歯ブラシが、Qのちんぽのようにだらんとたれ下がったままに。
~~~ポエム~~~
「タイプなのに嗅がせてくれない!」と
君怒り給うことなかれ
君がワイのタイプとは限らんやろ