
「セシルのもくろみ」公式サイトより
民放連続ドラマは例年「夏枯れ」と言われますが、今期の滑り出しは各局10%を超えるものが多く出ていて、意外なほど順調に見えます。フジテレビ系月9『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』に至っては第一話の平均視聴率が16.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下同)。しかし! 残念なことにフジ木曜劇場『セシルのもくろみ』(フジテレビ系、木曜夜10時~)は他作品を大きく引き離してのズッコケ数値、主演の真木よう子によるTwitterを駆使した宣伝も虚しく初回視聴率5.1%とかなり低い数字を記録し、第二話はさらに下がって4.5%……。
このまま3~5%台の低空飛行が続いたとしたら、打ち切りは免れないのでしょう。フジには、2015年夏の連ドラ『HEAT』(AKIRA主演の消防モノ)が第六話で2.8%を叩き出したという“伝説”があることは有名ですが、もしかしたらその記録に匹敵する作品になってしまうかもしれません。『セシルのもくろみ』は出演俳優陣に難があるわけではないのですが、視聴者を引き付ける力が、とにかく弱いのです。
記憶に残るシーンがない
思いがけずファッション誌『ヴァニティ』の読者モデルにスカウトされ、思いがけず採用されてしまった34歳のパート主婦・奈央(真木よう子)は、ファッション雑誌や読者モデルの世界の内情を垣間見ることになり、二転三転しながらも、読者モデルの世界でのし上がってやると意気込みました。
続く第二話は、そんな奈央が色々挑戦・奮闘してはやらかすわけですが、奈央のハチャメチャキャラぶりは今回も結構すごい。歩いても座ってもがに股、仕草はガサツ、落ち着きがなく時に挙動不審、何より感情の起伏が激しくいちいちリアクションが大げさ。『ヴァニティ』トップモデルのハマユカ(吉瀬美智子)の自宅に招かれた際も、その豪邸ぶりに大興奮、すっげぇぇぇ~と子供のように飛び回ります。非常識極まりないですが、しかしハマユカはそんな奈央の態度を“素朴”と受け止め好感を持っていて、奈央に服をあげたりアドバイスしたり、とても親切。ちなみにハマユカの息子は、奈央の息子・宏樹と同じ私立中学・同じ部活で、宏樹の先輩です。え、奈央は息子にお受験させたのか……と思ったが、利発そうな息子が「受験したい!」と望んだそう。
『ヴァニティ』に関わる女性たちの描き方はややテンプレに沿いすぎというか、モデル2人が取っ組み合い寸前の喧嘩を起こしたり、読者モデル同士も表面上は仲良しだけど陰では相手を罵っていたり。彼女たちは「自分のほうがセンスがある 自分のほうがわかっている」と思っていたいようです。また、編集デスクの洵子(板谷由夏)と副編集長の石田(眞島秀和)もバチバチ火花を散らし、石田と読者モデルの葵(佐藤江梨子)は密会している様子だったり(不倫なんでしょうね)。地味に登場人物が多くて、把握するのが大変ですし、見ていてただただ疲れるんですよね。こんな華やかな業界の汚い裏側見せます、みたいな演出も古臭いのでは。
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