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子宮は女の象徴だと思っていた女性が、摘出してはじめて知ったポルチオの快感/神田つばきインタビュー「子宮を手放し、性の冒険に出た私」【1】

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――『ゲスママ』には神田さんが子宮摘出後、恋愛とセックスでご自身の女性性を確認していく姿が書かれています。なぜ確認する必要があったのでしょうか? 結婚・出産・育児経験のない私からすれば、子宮摘出前にそれらを経験されている神田さんの女性性には疑いがないのでは、と思ってしまうのですが。

つばき:呆れられちゃうかなと思いつつ、このことだけは今日話すと決めてここに来ました。私は母性がゼロなんです。なので結婚して出産して育児したけれど、まったく満足感を得られてないんです。結婚前は違ったんですよ。自分は仕事で自己実現できるような素敵な人間じゃないと決めつけていたし、「父親のいない家庭」という世代間の連鎖を切りたかった。だから結婚して子どもを産んで、幸せな家庭を作れば女性として全部叶うんだと信じていたんです。けど、やったら 全然むいてないのよねえ(笑)! ちっとも楽しくないし。

それはメスとして母として欠陥があるということだから、おそろしいことなんです。女性全般にあてはめられないことですが。

――私もたぶんそういうタイプですよ。子どもを産んでも満足感ないと思います。

つばき:世の中には私みたいになんの自覚もなく親になっちゃう女の人もいるんですよね。堕ろすことにも意識がない。出産することにも意識がない。母になる資格がぜんぜんない人が子どもを産んでしまうわけです。このことを伝えるために自分はいま生き延びてるんだなって思うしかないですよ。

子宮は女性の象徴なのか?

――『ゲスママ』には 「自分の『女』はどこに行ってしまうのか、女の象徴といってもいい臓器が廃棄される」とあります。現在でも、子宮は女の象徴だとお考えですか?

つばき:私、当時は子宮が女の象徴だと思ってたの。いまみたいにネットで何でも調べられる時代じゃなかったし、女性の体の仕組みもよく知らないまま手術しました。子宮を摘出したら「ヒゲが生えてきちゃうんじゃないの?」って思ってた(笑)。その後も、自分は子宮を取ったから更年期が軽いんじゃないか、とすら思ってたんです。

――子宮がなくても卵巣が残ってれば更年期、来ますものね。

つばき:女性の体の仕組みについて初めていろいろ勉強したのは、更年期の学会の試験を受けることにしてからです。母が亡くなって、最初の母の日でした。卵巣があって子宮があって、ホルモンは卵巣から出ていて、だから子宮を取っても更年期があるんだって、そのとき初めて知った。そういう意味で、卵巣やホルモンも「女」ですよね。

ここ数年、物忘がひどくなったり体の痛みや手足のしびれから起き上がれなかったりしたのは、全部更年期だったんだって初めて知りました。手術から10数年も経ってからのことです。更年期、最近は軽くなってきました。けどまだ性欲はあります。とはいえ、男にコンドームなしでやろうといわれるのはヒク。「精液を入れたほうが更年期が軽くなるからナマでやろう」ってパートナーにいわれたことありますよ。

――ハハハハ(大爆笑)! なんじゃそりゃ~!

つばき:女性ホルモンは、男がちんぽで活性化できると思ってるヤツらがいっぱいいるんですよ! 私はあんまり男対女の対立構造を強調するのは好きじゃないんですが、この問題に関してだけは、もうちょっと男性も一緒に勉強してもらわなくてはいけませんね。

子宮摘出後のポルチオ

――子宮を摘出しても、セックスでのオーガズムは可能でしょうか?

つばき:セックスでイクっていうのは、私は子宮をとってから本格的に体験しました。

――むしろ取ってからのほうが快楽が深くなったんですね!

つばき:それまでもクリトリスを刺激すればイクんだけど、ほんの一瞬ののようなオーガズムでした。何度も続くガッとくるオーガズムは、骨盤底筋群が収縮しないとできない。大事なのは骨盤底筋群! これは子宮を取っても私のなかに存在していますから。この筋肉の塊も女として重要な役割を果たしていると最近、痛感します。

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』