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百合オタ&BLオタから批判殺到の『百合BL』 そもそも“受けと受けのBL”とは?

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『百合BL』(シャルルコミックス)

『百合BL』(シャルルコミックス)

 そのタイトルから、百合界隈とBL界隈に激震が走ったコミックアンソロジー『百合BL』(シャルルコミックス)が725日に発売されました。BLコミックのレーベルから発売されているので、この作品はれっきとしたBLなのですが、タイトルだけを見ると百合なのか、BLなのか混乱してしまう一冊です。

 この作品が言う“百合BL”とは、受けと受けのBLのことを指しているようです。攻めがいないとBLが成立しない気もしますが、受け同士のBLは以前から存在していて、界隈では「ホモ百合」と呼ばれています。おそらく、ホモという言葉に蔑称の意味合いがあることから、編集部側がコミック化の際にホモ百合を百合BLと言い換えたのでしょう。

 でもそれによって百合オタからは「受×受のBLが百合とかもはや笑うしかない」「百合目当てで検索したらBLが出てくるとか地獄」と、腐女子からも「受けを攻めてるのはもう攻めなんだよ!」「男同士ならBL、女同士なら百合の住み分け大事でしょう」と双方から批判の声が殺到することになるのですが……。そりゃまったく違うものを一緒くたにされたような呼び方をされたら、怒りをおぼえる人もいますよね。

 いろんな意味で注目を集めた『百合BL』ですが、そもそも“受けと受けのBL”って、一体どのようなものなのでしょう。

受け同士のBLって!?

 この一冊には、10作の百合BL作品が収録されています。基本的に、ほぼすべての作品に攻めはいません(でも、挿入シーンがあったので「この受けは攻めなんじゃ?」と疑問を感じる作品も一部ありましたが……)。

 その中で百合BLとして分かりやすかったのは、ゲイのネコ同士のストーリーでしょうか。ネコ同士なので、普段は彼氏の悩みなどを共感し合える間柄、そして夜はお互いの気持ちいいところを知っている間柄。エッチまでの流れは作品によって違うのですが(なし崩しだったり、お遊びだったり)、ネコ同士なので基本挿入はナシ。双頭ディルドを使ってエッチしたり、兜合わせでイッたり、乳首を弄り合ったり。個人的には、受けだからやっぱり後ろの穴が疼くということで、相手にタチを押し付けようとする様子が見ていて微笑ましかったです。

 この作品には、ほかにもノンケと受けの作品も収録されていました。受けは大好きなノンケに責められる気満々だったのに、ノンケがアナニーにハマってしまうという……。BLにおけるノンケって、受けとセットだったらやんちゃ攻めとかになりがちですが、こういう可能性もあるんだね!

 前評判とは反して、読んでみると結構萌えるところがあったり、受け同士のセックスなど、腐女子として知見が広げられた描写・表現があった『百合BL』。作品としては全然アリなんですが……やっぱりタイトルに問題があるように感じます(そんなことを言ったら、オリジナルのホモ百合にも問題アリってことになっちゃいますが)。単純に「受×受BL」とか、ネコとネコを合わせて「にゃんにゃんBL」とかでも良かったんじゃないかな?

月島カゴメ

アニメもゲームもBLも嗜む雑食系オタク。最近はキッズアニメ(プリパラ)を見ている時が一番楽しい。オタクのくせに変な行動力がある。なお、貞操観念はほぼない。元風俗雑誌編集で元ホス狂い。

twitter:@kaaagome_