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子宮摘出が決まってから「こんな不当な目に遭ってたまるか」と怒りがわいてきた/神田つばきインタビュー「子宮を手放し、性の冒険に出た私」【2】

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つばき:セックスに入るときの間合いなどの相性が合うかどうかは、電話で何度も話せばなんとなくわかります。ネットのやりとりだけでは、私はわからないですね。やっぱり声を聞いて複合的に判断します。

――子宮を摘出した女性が避けては通れない問題のひとつに「セックスパートナーには摘出の事実をいうか・いわないか」があると思います。神田さんはどう対処されていますか?

つばき:私はいつも会う前、電話している段階でなるべく話していました。子宮がないことで相手の態度が変わったら自分がヘコむとわかっているので、最初にその話をして、楽な気持ちで会話できるようにしておきます。

――子宮を摘出したって男性に知られたら「じゃあナマでいいんだよね?」っていわれそうで、怖くていえません。

つばき:とんでもないですよね。「看護師から『女性が子宮を摘出してるなら、避妊しなくていいよ』と聞いた」って教えてくれた男性がいました。「ひどい」と思って、その人とはセックスしなかった。性病をうつされるかもしれないから。

――ひどいですね!

つばき:ああそうだ、もう一件、いま思い出した(笑)! 手術直後につき合った人に取ったことを話したら、「俺のちんぽにガン、うつらないよね?」っていわれた。

――なにそれサイテーですね!

病気は、人を変える。

つばき:そのときはすごく悲しかったんだけど、何もいえなかったの。それから20年近く経って、その人がLINEの連絡先に表示されたんです。あのことだけはいわなきゃと思って連絡したら、彼は病気になってたの。「昔こういったんだよ」っていったら、彼の返事が「俺そんなこといったんだ。本当に恥ずかしい。最低だオレ」。それを聞いた瞬間に許せたし、彼の闘病を応援する気持ちになれて、「いってよかった」と思いましたね。

――その方も病気でいろいろ見えるようになられたんですね。

つばき:病気って、大変ですけど貴重な体験なんですね。いまはなんでもいえるようになっちゃたけど(笑)。その当時にいわなかった自分も弱い人間だったなと思って。

――や、さすがにそれはいえないですよ~。

つばき:女の人ってそういう思いをいっぱい抱えてるのかもしれないですね。それを何十年経っても、思い出したら修正していかないと、どんどん心が縮こまっていくような気がする。所詮わからないんですよ、男には。女がどんな思いでいるかなんて。でもわからないなりに、男性は女性に畏敬の念を持ってもらわないとうまくいかないと思います。

*   *   *

「子宮にちんぽが届くまで」の主人公・夢子ちゃんも、摘出手術前に正体不明のかきむしられるような思いに急かされ、それまでの自分からは考えられないような行動に出ます。術後の神田つばきさんも同じように「グツグツ」する気持ちが湧いてくるのを感じて「性の冒険」に出られたとは! 夢子の思いと神田さんの「グツグツ」は、同じでものはないけれど、「病気に蹂躙されたくない」というスピリットは似ているような気がします。

 次回、最終回では男性嫌悪や「解放としての閉経」そして「生にも性にも真剣に生きること」などについてうかがいます!

▼神田つばきインタビュー「子宮を手放し、性の冒険に出た私」
【1】子宮は女の象徴だと思っていた女性が、摘出してはじめて知ったポルチオの快感
【3】精神的に男性と愛情をつむげない私が、閉経後に気づいた「ペニスが嫌い」という本音

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』