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天下のNHKでもまんこが取り上げられていた!~その時、まんこの黒歴史が動いた~

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先日、3Dマンボート進水式のお祝いに来てくれたお客様から、「まんこ」に関わる映像を個人的に録画したDVDをいただきました。
それはかつてNHK教育テレビで実際に放送された番組の一部を録画したもの(日付がないため正確な製作放送日時不明)。
直接「まんこ」という言葉は出てこないものの、NHK教育テレビという全国ネットで(!)女性器がテーマに取り上げられていたのがとても驚きでした。
しかも、わたしが常におかしいと思う「まんこが何故ダメなのか」という問題に関わる重要な話ですので、
是非、みなさまにもご紹介しつつ、感想を述べたいです。

「男の子はおちんちん、女の子は?

女性器をどう呼べばいいのか、

1500年の歴史と現在」

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NHK教育らしい実にまじめなタイトルです。
司会は女性アナウンサーと詩人の男性。
ゲストは民族学教授の鈴鹿千代乃氏。
放送日時は不明ですが、出演者の髪型やメイク、肩パットの入り方的におそらく80年代後期ではないでしょうか。
番組は、埼玉県のある中学の男性教諭の顔アップと、このセリフから始まります。

「子供たちに性教育を教えようとした時、男の子の性器はおちんちんと呼べるのに、
女の子の性器には……あれ? 名前がない、って気づいたんですよ……」

(正確には「まんこ」がありますが、それは言えないのであくまで「名称がない」と言い替えるのが奇妙でしたが)、
たしかに性教育の現場で女性器の名前を言えない、もしくはタブーなのは、とても矛盾しているし、子供たちに教えづらいですよね! という、まさにわたしが疑問にしてきたテーマを掲げて番組スタート。

取材班は(当時の)教育委員会を訪ねます。
女性器の名称をどう呼ぶかは各都道府県に任されていることがこのように示されますが↓

東京都の例: おちゃんちゃん、お股、おしり、おちょんちょん、おまんじゅう、おちんちん

ここでもかたくなに「まんこ」が出てきません。
そして何故か男性器も女性器も「おちんちん」に共通指定するところまであります(!)
機能も仕組みも異なるちんことまんこを同じ呼び名にするのは乱暴ですし、セックスすると精子と卵子が受精し胎児になるという説明もややこしくさせるだけ。

続いて番組は、国語辞典の権威にもまじめに取材に出向きます。
岩波書店の国語辞書編集部のコンピュータで男性器を検索すると、
ペニス、たけり、だんこん、ちんちん、まら、ちんぽ……などなど、26種も出てくるのに対し、女性器では

「ほと、くぼ、そそ」

という、たったの古語3種のみ!
古語にはあるのに、現代にはない不思議……。
ならば、女性器の名前の歴史を紐解いてみよう! と番組は進みます。

そしてここで、鈴鹿千代乃先生のご登場です!
(テーマがテーマなので女性アナウンサーはキョドってますが、鈴鹿先生は終始堂々としておられ、同じまんこ持ちとして非常に好感を持てました)
先生は、現在ではタブー視され卑下されている女性器は、古代ではむしろ神聖視されていたことを、古代の天皇家の娘の名前を例に主張されています。

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現代なら、愛子さまの名前にまんこを付けて呼ぶようなものですよ……!! ひぃぃぃ!
(後に、「ホト」は神聖すぎるということで、かえってご遠慮して「ヒメタタライスケヨリヒメ」に改名したそうです)
さらに、ホトの敬称である「ミホト」は、「御秀処」と書きますが、
この「秀」は、目立つという意味で(いなほのほ、ほのおのほ、もこれに相当)、
転じて、大事にすべき所、丁重に扱うべきところの意味だそうなのです。
現代のまんこイメージとなんとかけ離れてしまったことか……!

(次ページへ続く)

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ろくでなし子

漫画家。日本性器のアート協会会員。自らの女性器を型どりデコレーションした立体作品「デコまん」造形作家。著書に『デコまん』(ぶんか社刊)。『女子校あるある』(彩図社刊)

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