
果たしてちんぽは届くのか。イラスト/大和彩
前篇・中篇にわたって『ゲスママ』(コアマガジン)の著者、神田つばきさんに子宮摘出、母性、更年期そして手術後に出られた「性の冒険」についてうかがってきました。最終回であるである今回は、男性嫌悪や「解放としての閉経」そして「生にも性にも真剣に生きること」などについて話していただきます。
▼神田つばきインタビュー「子宮を手放し、性の冒険に出た私」
【1】子宮は女の象徴だと思っていた女性が、摘出してはじめて知ったポルチオの快感
【2】子宮摘出が決まってから「こんな不当な目に遭ってたまるか」と怒りがわいてきた
* * *
――私は手術した影響で、家族のような人がいたらいいなと最近思うようになりました。先ほど、神田さんは恋愛では充実はなかったとうかがいましたが。
神田つばきさん(以下、つばき):私は精神的に男性と愛情をつむげないんです。親しむ段階を一段階、飛ばしちゃわないとセックスに行けない。だからSMじゃないとダメだったの。SMだったら、大丈夫。
――親しむ段階を一段飛ばしたい気持ち、わかります。実は私も初対面で会ったら速攻でホテルに行ってしまうほうが正直いうとラクです。それがよいことだとは思ってないんですが。
つばき:そうなの、そうなの! すぐ「脱げ」といわれると「助かったぁ、いろいろ聞かれなくて」と思います。
――男性と出会って「まずお食事」とはならないタイプですか?
つばき:お食事はお腹が空いていたら行くとしても、そこでやさしい会話があんまりできない。
――私も一緒です。男性と会話してると、イライラすることが多くて。
つばき:本当? 閉経して最近気づいたことなんですが、私はペニスが怖いし、嫌いなんです、男が。
――むむ? 「ちんぽが嫌い」ということですか?
つばき:ちんぽが嫌いなんです。父親が家にいなかったから、ちんぽをあまり見たことがありませんでした。でも負けるみたいで「ペニス嫌い」とはいいたくなくて、すごくがんばってたんです。けど、私、たぶん嫌いです。
――わたしも嫌いなんですよ……、ちんぽ(ボソッ)。
つばき:わあ~仲間がいた~。
私たちは、ちんぽが嫌いなんだ。
――フェラチオとかも、嫌で……。神田さんはどうですか?
つばき:本当は嫌。ただすごく上手くなってく自分が、相手をヒイヒイいわせるのだけは楽しい。もうゲームです。弱点を見抜いたら終わりで、もうしたくない。
――『ゲスママ』に書かれているように出会い系で男性を募っていたときから、ちんぽはお嫌いでしたか?
つばき:ちんぽ好きじゃなかったですね。男性に「ちんぽ好きっていってごらん」っていわれるとすごく困って、ぜんぜん別の、もっとすごいこといってごまかしてました。ただ、いま思うと、大和さんのように家族になりたいって思うんなら、やっぱり会話はあったほうがいい。性だけで結びついて最後まで一緒にいるってことは無理なんですよ。
――そうなんですね。
つばき:体から入った相手とは、その後会話しても、やっぱり最後は体で終わっちゃうの。だからどっかで会話ありきの関係にうまいことシフトしていったほうがいいかもしれない。
――会話は大事なんですね
つばき:今後、男性と恋愛していくとしたら「私は本当はペニスが苦手だったんだよ」と話すところから始めないといけないと思っています。それができたらもっとやさしくなれるかなあって期待しています。
――私も会話からの関係スタートを目指します。
つばき:セックスを超越できるかしら、私。セックスができなくなったら誰とも親しみあえなくなる可能性もゼロじゃないし。愛と性を両方実現しないといけないんだな、ってことは漠然とわかってきました。けど、私はもしかしたらできないかもしれないなぁ。世の中にはもしかしたらひとりでいることの方が向いてる人間がいて、私はそれなのかも、って思ってる。