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精神的に男性と愛情をつむげない私が、閉経後に気づいた「ペニスが嫌い」という本音/神田つばきインタビュー「子宮を手放し、性の冒険に出た私」【3】

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――もし仮に男性の家族ができたとしても、女性のほうが寿命も長いですし、私は結局、最後はひとりになると思っています。女性ならば、ひとりになる覚悟は大事なのかもしれません。

つばき:そうかも。ホームに入ってからまた恋愛する方とかもいるし。大事なことなのかもしれないですね。

――私は子宮内膜症になって長いので、子宮を摘出することが病気からの解放になるとずっと思っていました。神田さんはいかがでしたか?

つばき:子宮を取ることで解放されるとは、当時まったく思ってなかったです。これによってますます不幸になると思って。

――解放感はなかったんですね。

つばき:なかったですね。子宮を取ったから「これで避妊考えずにセックスできるわ」とかもなかったし。性病を考えると、っていうのもあるけど、プラスに捉えることはできませんでした。

――それは当然だと思います。

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神田つばきさん

――神田さんは更年期からの閉経もご経験されています。

つばき:いまはすごく解放感があるんですよ。子宮を取ったときよりも閉経後のほうが解放感があります。閉経して「もう卵巣が、かじかんでなくなる寸前ですよ」って宣告された日から素に戻って、少女のころの心に戻りました。

――閉経は解放にもなるんですね!

つばき:私は卵巣が小さくなっているから「男になったんだな」っていうのが精神的にはあるの。不思議なんですけど、卵巣が小さくなってから、男に媚びる気がゼロになっちゃったの。もうひどいのよ、私。

――そこは閉経されてから変わったんですか?

つばき:私の場合は変わりましたね。それまでは「愛してもらえるように、かまってもらえるように、セックスしてもらえるようにがんばる」みたいな気持ちがすごく強かったの。でもいまは、ぜんぜんない。そういうのがめんどくさくなって。

――閉経をポジティブなものと捉える見方もあると知れて、たいへんうれしいです。

つばき:閉経は女の終わりっていうイメージじゃないんです。私は男に対していろいろな態度や角度を作っていたことを辞められた。それまでは気がつくと媚びていましたが、媚びなくなった自分がいま、すごく楽で面白いです。パートナーとも、最近やっと対等になれたなあって思っています。

性に関心が低い人のほうが野蛮

――「年下が好きです」とマッチングアプリのプロフィールに書くと、私には何のSM経験もないのに「踏んでください」「目隠ししてください」「言葉攻めしてください」などとメッセージがくるのですが、これは一体なんなんでしょうか? SMチックなものを、何も考えずに表面的に消費したがる人が最近の世の中には多いのでしょうか?

つばき:私は手術をしたことで、何か大きなものを失いました。逃げ場がなくなってから性の冒険をしたので、肉体に負荷の高い行為をするところまでいったんです、すごく真剣に。けれど普通、人はそこまで真剣ではない。そういう人たちがSMっていう記号を見たときに「楽しい洗練された大人の遊び」って思ってしまうのを、私はやめろとはいえないですね。ただ一緒にしないで、とは思います(笑)。

――なるほど生きることに真剣じゃないから性にも真剣じゃないんですね。

つばき:世の中全体が「子どもができればいっか」「ケンカしない程度にやればいっか」「女の人が文句いってなければいっか」みたいに、どんどんライトになってる傾向は否めませんね。そのなかでの俺はSだよ、私はMだよ、なので、理解が浅くなっていくのはしょうがないですよ。縛りだけ覚えても何にもならないのにね。

――先日初めてハプニングバーにお邪魔したんですが、あそこはリテラシーの高い場ですね。

つばき:海外はわからないですけど、日本では性に関心が高い人と低い人と、どっちが野蛮かっていうと、低い人のほうが野蛮なことをする傾向がありますね。すると、関心ある人のほうが、思いやりも持たざるをえない。

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』