
(C)緑丘まこ
最近、関西にいる親友アイコ(仮名)から電話がありこんなことを相談された。
「今いい感じの人がおるねんけど、純粋にデートだけしててまだやってないねん。男ってやったら急にさめるっていうかあきるやん?だからこの人だけは逃したくないからやってないねん。うまくいくと思う?」
「ええっどうしたん?」
アイコのことは小学生の頃から知っているけれど、ヤリマン絶世期だった頃のわたしほどではないが、そこそこ性に開放的だった。
「向こうはやりたいみたいやねんけど我慢してるねん。キスした時めっちゃ勃ってたけど(笑)。発情おさえるためにトイレ閉じこもって自分でしてたみたい(笑)。かわいそうな気もしたけど3カ月くらいは我慢してもらおうと……」
アイコは本気だった。
年下のその彼はかなりイケメンらしく可愛い系でアイコのドンピシャなタイプだという。
アイコはモデルの仕事をしていたことがあるくらいスタイルのいい美女でかなりもてる。
それでも「別に彼氏なんていらない。遊んでる方が楽」と口癖のように言っていた。その背景には、歴代の彼氏と付き合うごとに何かトラブルがあり、次第に恋愛にうんざりするようになったことがある。
そのアイコがまた再び恋愛を誰かとしようとしている。素晴らしいことだった。わたしも嬉しい。
しかし、せっかくのアイコの決意だけれど、ひとつだけひっかかる。
「3カ月もセックス拒んで、セックスの相性悪かったらどうするん? 今すぐ確かめるためにやった方がいいで」
わたしは率直に意見した。
「んー、でもさ最近まで出逢ってた男、すぐやったらセフレみたいな関係にしか発展せんかったり、連絡もなくなったりしててさ。だからユウ君(今の彼)はとことんやらずにひっぱろうかなーって思ってるねん」
すぐやったらあかん。
これを、恋愛におけるタブーのように意識する女性も少なくない。
わたしでも理解はできる。セックスする前にデートを重ねて体より心の距離を縮めることは、純愛につながるかもしれない。
しかし、わたしは続けた。
「3カ月もセックスせんくて、いざしたら彼のちんこ親指サイズやったら?」
「……それはイヤやな」
「そんで3カ月も我慢させてその間に向こうにセックスできるいい女が出現したらどうするん? そんなことよりやっぱり相性大切やで! セックスが一番大切や!」
わたしがここまで力説するのにはちゃんと理由があった。
付き合う前にセックスする大切さ。
オーストラリアにワーホリで半年間いた頃、オーストラリア人の彼氏ができた。
彼は、背が高くイケメンで政府の仕事をするいわばエリートなサム(仮名)。
サムとの出逢いは、パブでわたしが一目惚れして逆ナンしたのだ。(スカイプオナニー男の時と時期は違えど、似たようなシチュエーションである)
サムと連絡先を交換し、その後、積極的に連絡をくれたのはサムからだった。
逆ナン成功である。
サムは真面目な性格で、毎回デートのスケジュールを事前にたてて動物園や海が見えるレストランなど、いろんな場所へ連れて行ってくれた。
しかし、キスはするもののなかなかそれ以上手を出してこない。
わたしはわたしで、珍しい純愛を楽しんでいた。
サムと付き合いだして2カ月ほど経った頃だろうか。
サムの家に遊びに行くことになった。
サムが手料理を作ってくれてお酒を飲みながら、サムの家の広い庭で食べる。
キャンドルが夜の闇を美しく輝かせる。
手料理も美味しいしお酒もすすむ。至福のひと時だ。
それから一緒にDVDを観たっけ……。何のDVDか覚えていないけどコメディー系だったと思う。
DVDを観ながらサムがわたしの手を握り、聞いてきた。
「今日は泊まっていくだろ?」
わたしは静かに頷いた。
表面上は穏やかな海のようだったが、海の水面下、つまりわたしのまんこは熱くなっていた。
とうとう今夜サムに抱かれるのか……。
サムとのこの2カ月間が、2人で過ごした日々が走馬灯のように美しく浮かんだ。
それまで、クラブやバーで出逢ってすぐにやりまくっていたヤリマンのわたし。
まんこは満たされても心は満たされない日々を送っていた。
そのわたしが恋をしているのだ。
出逢ってからデートを重ねて、体ではない心で繋がっている。
いつもより激しいキスをして、ベッドへ移動する。
王子様に初夜をあげる生娘のような気分である。
ドキドキドキドキドキドキ
鼓動が高鳴った。
真っ暗な部屋の中、頼りにするのは窓辺のキャンドルの灯りだけ。
わたし達は激しく抱き合いキスをしてとうとう初めて裸の姿に……。
ん?
え?
ええっ???
暗闇の中で目が慣れてきて仰天したのは、サムのチンコの大きさだった。
でかい……。
でかすぎる…………。
わたしは外国人フェチで外国人男性としかやらなかった時期もあったため、数々の外国人男性のおちんちんは見慣れていたはずだ。
しかし、サムのチンコのデカさは異常だった。
こんなデカいチンコは見たことがない。
そして………
曲がっている………。
いや反っている、と表現するべきか。
上に反るタイプは何度か見たことがあったがサムのチンコは下に向けて思いっきり反るタイプであった。
え? いや、これどうやってまんこに入るんだ?
無理だろ不可能だろー(汗)
予感は的中した。
ヤリマンでやりまくってきたわたしのゆるゆるまんこにすら、彼の亀頭部分がまんこの入り口まで入るのがやっとである。
「痛いかい? やっぱり日本人のおちんちんと違って僕のは大きすぎるかい?」
いや、「外国人だから大きい」ってレベル超えてますって!(そしてなにげに日本人の男性バカにしたな……)
「あと君も日本人だからあそこが小さいんだよ。だから入らないんだ」
わたしのせいかいっ(笑)。
いやいや、日本で外国人とばかりむしろやりまくっていたんだけどね。(サムには言っていない)
とにかく四方八方工夫したが、サムのでかすぎて曲がったチンコはわたしのガバガバなまんこにも入らなかった。
サムいわく、セックスは昔一度しかしたことがなかったが、その際はすんなり入ったという。
相性の不一致?
いや、サムのチンコがでかすぎるせいだ。
わたしはそう確信していた。
サムはサムで日本人であるわたしのまんこが、小さすぎるお国柄のせいだと思っていただろう。
こんなことがあってもわたし達は付き合いを辞めずにいた。
その後も何度もセックスに再挑戦したが亀頭部分がまんこの入り口に入るのがやっとであった。
そのたび、彼は瞑想を始めるように目を閉じ、わたしの真横で自分のおちんちんをしこりだしたのだが……
「あはは~コアラみたい」
オナニーする彼の顔が鼻の下がのびて動物みたいで笑ってしまった。
「しっ! 黙って!」
わたしの笑い声に顔を真っ赤にして怒り、彼はなんとか続行してオナニーでいく。
スッキリする彼とスッキリしないわたし。
最低だけどわたしはセフレを何人も作り、性の解消は他でして、純愛はサムと楽しむ生活を続けた。(ちなみに、あのスカイプオナニー男ことロブとの大恋愛は、このワーホリ期間に始まったものではなく、時期はかぶっていない)
サムとは帰国のタイミングで別れたりもしなかったが、彼もまたひとりよがりなスカイプオナニーを映像で見せつけてきて次第にさめてゆき、わたしから別れを告げた。遠距離カップルにとって、スカイプオナニーは常識的な求愛行動なのだろうか?
わたしにとってセックスは大切な行為である。
思い返すとサムにはひどいことをしたかもしれない。
サムと付き合いながら、同時にセフレとも関係を持った。
しかしきっと、いや100パーセントもしサムとのセックスの相性が良ければ浮気はしなかっただろう。
もしかしたらわたしみたいな性欲のかたまりでなければセックスの相性が悪くても純愛をつらぬきとおせるかもしれない。
だけどヤリマンのわたしはセックスの最高な気持ち良さがどんなものか知っている。
セックスは生きるよろこび。
生きるためにセックスするのか、セックスするために生きるのか。
とにかくセックスはわたしの人生に不可欠な酸素のようなものである。
だから、セックスがしたい。
いいセックスがしたい。
付き合う前にセックスをする大切さ。
付き合う前だからこそ、これから大切な存在になるかもしれない人との大切なセックスの相性を確かめたいのである。

(C)緑丘まこ