連載

巨根とガラスのハートをあわせ持つ美青年との一戦を終えて、気づいてしまったこと

【この記事のキーワード】

「食べ物はなにが好き?」
「僕、野菜が嫌いー」

などのアイスブレイキングな会話からいよいよ話題が核心をついたのは、軽く食事を済ませてホテルへ向かっているときだった。

「いつもはどういうふうにしてるのー?」

 恒例のやつである。

「私、10年くらいセックスレスなんだ」

 ふだん同様「でもひとりではしてたんでしょ?」という反応が返ってくるものと高をくくっていたのだが、ガチャくんは違った。

「えー、ふあんなんだけど……。入らないんじゃない?」

 そもそも「長年、子宮内膜症である私のまんこに、本当にちんぽは挿入可能なのか?」という疑問は本このプロジェクト発足以来、我々にもあった。しかしいままではちんぽへの射程距離が遠く、挿入に関する細かい事情以前に対処すべき問題は山積みだった。実技に関するアレコレは実際にちんぽを提供してくれる者に出会ってから考えればいい、という姿勢でここまで邁進してきた。

10年セックスレスだと、処女に戻る?

 そんな我々に、ここにきてグッドニュース・バッドニュース両方が持ち上がった。お前はどちらを先に聞きたい? では、まずグッドニュースからだ。この若者は本気でちんぽを夢子に挿入しようと思ってくれている、という件。こればかりは実際にベッドに入ってみないとわからないからな。

 バッドニュースは、これだーーしまった。若者を不安にさせてしまった!

「大丈夫だよ! ぜんぜん入る!」

 夢子は自信満々に聞こえるよう心を砕いたが、

10年してないんでしょー? あながとじて処女にもどってる」

 というガチャくんの言葉に力が抜けた。これは「処女」というものの定義にもよるだろうけど、おそらくガチャくんの言葉はそういう意味ではない。きっと女性の膣をピアスの穴と一緒だと思っている。夢子にも、長いあいだ何も入れなかったために塞がってしまったピアス穴がある。が、膣はそんな性質のものではない。「穴」の存在は揺るぎない。

「穴ならちゃんとあるよ~、何度もタンポンとか入れてたし」

 と返すしかなかった夢子が、俺には少し悲しかった。

「んえ~? ?」と納得していない様子のガチャくんを、「安心して? 潤滑剤持ってきたから。アメリカのNASAで開発された、すっごいいいやつ! するっと入るから!」となだめるのが精いっぱいだった。潤滑剤、買っておいてよかったな!

あらわになった美しい肉体

 素っ裸のガチャくんは、ほれぼれするようなとてもよい体をしていた。背中を向けられたときにじっくり見たところ、彼は逆三角形の完璧な肉体の持ち主だった。体脂肪が低くて僧帽筋と広背筋がくっきり見える。細身筋肉質、6尺もあると圧巻である。俺も夢子も、こんなに美しいボディを間近で見るのは初めてだ。

 しかし、なぜかガチャくん本人は恥ずかしがり、その素晴らしい肉体を隠すようにしてしまう。夢子は体を寄せながらため息をついた。

「スタイルすっごいいいね!」

 もっと見たいのにガチャくんは体を背けて隠してしまう。

「よくないよ、ほそいし……

 モデルにもなれそうなのに、中身は中学生みたいに恥ずかしがり屋なようだった。

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』