連載

巨根とガラスのハートをあわせ持つ美青年との一戦を終えて、気づいてしまったこと

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 これまでは「男の体なんて触りたくない」としか思わなかった夢子。だが、今回は違った。自分発信のセクシャルなタッチはプロジェクト史上最多をマークし、こんな会話が子宮壁超しに俺に聞こえてきた。

「やーん……えっち」
「いいじゃん」

 念のためだが、最初の言葉を発したのは、ガチャくんのほうである。好みのタイプだとモチベーションが段違いにあがるようだ。なかなかいい雰囲気で物事は推移している。いよいよプロジェクト目的達成の時がきたか!?

 問題は、ガチャくんが突然の手マンをしたときに起こった。

 彼はなんの力加減も加えない指で触れる。牛の出産介助じゃないんだぞ、もっと繊細に扱え。とうとうあの忌まわしい言葉が夢子の口から出てしまった。

「痛っ!」

 いった瞬間、「しまった!」と思った。本日2回目のしまった!である。Qのときの悪夢がよみがえる。恐る恐るガチャくんの顔を見ると、「あれ?」とびっくりした表情の彼は、次に不安そうに叫んだ。

「やっぱり入らないきがするーーー!」

「ちっとも痛くないよ」

 ガチャくんはこう提案してきた。

「もう、そうにゅう、なしでいいよね?」

 冗談じゃない。メッセージ交換からの写真交換を乗り越え、初アポを勝ち取り、爪も顔も塗ってすっぽかしをくらわず、ここ(ちんぽ着弾間近)までたどり着いた! ここまできて挿入なしなんてマラソンを42キロ地点で棄権するようなもの。いまこそ持てる精神力すべてを用いて困難に打ち勝つんだ。

「嘘嘘嘘。ちっとも痛くないよ。コンドームつけよ?」

 ガチャくんが持参したコンドームは、その名もビッグボーイだった。ガチャくんがビッグボーイなのかは、いままで見てきた総ボーイ数が少なすぎてよくわからない。だが入らないほどのサイズには見えない。いける!

「わーおっきーい」

 様式美としてそう申し述べてから夢子は潤滑剤をちんぽに塗りたくった。NASAが私についている……そう信じて深呼吸する。ガチャくんの下になったり馬乗りになったり、ひとときのすったもんだの末、

――すぽっ――

「ああっ! 入った! ねぇ? これ、入ってるよね?」

 夢子は歓声をあげた。

「うん、入ってるー!」

 ガチャ君はドリルのように一気呵成に動きはじめた。

 からからの夢子のまんこに無理な衝撃と振動である。

 苦悶に歪んだ顔をガチャくんに見られてしまった。

「いたい?」

 夢子はこう答えるのがやっとだった。

「ギ……ギギ…………たくな」
「ぜったいうそだぁ~~」
「嘘じゃない! 嘘じゃないもん!」
……もう、しぼんじゃった」

 ガチャくんが悲しそうにちんぽの終わりを告げた。

彼は、死んだ目でつぶやいた。

 シャワーから出ると、ガチャくんは早々に服を着ていた。ベッドにちょこんと腰掛け、逆三角形をしたあの素晴らしい背中をこちらに向けたままぽつりとつぶやいた。

「おなかいたい?」
「痛くないよ。なんで?」
「だって、さっき、いたいっていったじゃん」

 叱られた大型犬のような姿が不憫だった。痛かったからといって、彼そのもの自身のことを批判したわけじゃないのになあ。

 挿入で彼のボーイがリトルになったから落ち込んでいるのだろうか。それに対してどうフォローしてよいかわからなかった。実際問題、夢子はそれは気にしていない。ちんぽが入っただけでアメイジングだ。

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』