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手取り年収220万で毎年ハワイ旅行する一人暮らしの女性って、どこにいるのですか?

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 ある日突然会社をクビになった失職女子、歯グキ露出狂です。

 失職から、既に2年近く経ってしまいました。その間、ハローワークや民間の転職エージェントにお世話になりつつ、約100社に応募し、ほとんどに不採用になった過去がございます。生活を立て直す基盤となる仕事には恵まれないままに、体調悪化のため主治医から「外で働かないほうがいい」との警告を受けてしまいました。

 社会に出てから10数年、まじめに日々働いて貯めた虎の子貯金は、無職期間中にゼロになっていました。失業保険もおりず、無収入・残金一万円、いよいよ来月のお家賃が払えない!という状態になり、まず頭に浮かんだのは借金or風俗or富士の樹海へGO!……でした。足りない頭をどんだけ振ってもかきむしっても、他のアイディアは浮かばなかった。けれど、役所に助けていただき、そのいずれも選ばず、悩んだ末、生活保護受給という選択に踏み切りました。

 そんな私から見ると、「日経ウーマン」(日経BP社)で紹介されているような、「手取り13万円で年収260万、でもやりくりしながらお金を貯めて貯蓄額は250万/29歳一般職OL」や、同誌の別冊『働き女子の貯め方&ふやし方入門』(同)で紹介されていた「月収18万円で年収220万、ひとり暮らし。でも毎年ハワイに旅行している/26歳のヨガインストラクター」のような人々って……ツチノコのような存在です。本当に実在するの?……っていう。

 上記のような雑誌で紹介されているような節約術、例えば「月の食費を2万円に抑える」ということすら、年収200万円代で働いていた頃の私には難しかったです。会社で同僚とランチしたら一回大体800円~1000円。少なく見積もって800円×22日で、月のランチ代は17600円。残り2400円が、月の朝ごはんと夕飯の予算になります(お弁当を作ればもっと安上がりということは重々承知していますが、スペースが足りないのでお弁当論議はここでは省略)。この2400円に、ちょっと疲れたから食べるチョコレートや時間を潰すために入ったカフェで頼むコーヒー、風邪をひいたから飲む葛根湯、の予算は含まれていないのですよ!

 それでも、どうにかこうにか節約を頑張って月の家計を黒字にできたとしても、とてもとても海外旅行にいくような額なんて、なかなか貯められない……というのが、私の実感でございます。年収200万でも節約して時には「自分へのご褒美」を買うことは十分可能、という家計術を提唱されている雑誌さんには、ストレスに弱くてすぐ風邪をひいて弁当作りのスキルがない私のような人間の、もともと相手にされていないんだなぁ、と思います。

 この度、雑誌には紹介されないような、女性のリアルな家計簿に関するシリーズを書いてみませんか? とmessy編集部からお話をいただきましたので、まずは、自分自身が働いていた頃、どんなふうに生活していたのかを振り返ろうと思います。しばしお付き合いくださいませ。

 

■歯グキ露出狂/ テレビを持っていた頃も、観るのは朝の天気予報くらい、ということから推察されるように、あまりテレビとは良好な関係を築けていなかったが、地デジ化以降、それすらも放棄。テレビを所有しないまま、2年が過ぎた。2013年8月、仕事の為ようやくテレビを導入した。

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』