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ヒロインのモデルは、子宮系女子のカリスマ。障害者の性を描いたとされる映画『パーフェクト・レボリューション』の問題

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 ミツが、このハゲ~!級のテンションで暴れまわるお転婆っぷりは清野菜名のかわいさで楽しく見ていられるけれど、車いすのクマをクラブへ連れまわしフロアでダンスしたり、テキーラを無理やり流し込んだり、外でオーラルセックスをするのが〈ハチャメチャな恋愛〉〈本当の幸せ!〉と言われても大変共感しにくく、次第に見ているのが苦痛なレベルに……

 その姿はズバリ、〈社会意識高い『ベティ・ブルー』(※オシャレフランス映画)ごっこをしてみたよ!〉です。常識がなくてイカレてるけどキュートでボディもぴっちぴち。欲望に忠実で子どもみたいに純粋で、気に入らない相手には容赦なく殴りかかり、自傷行為もするベティちゃんは(ミツの行動もこのまんま)、80年代後半に女子たちのハートをわしづかみにしましたが、その後メンヘラやヤンデレなヒロインがメジャーになった感があり、今やエキセントリックな精神疾患持ちを強調する演出は、もう見飽きたかも。

 パンフレットに掲載されている対談では、リリー・フランキーが「面白い映画を観に行ったついでに、障害者の性も理解できる。障害者の問題をこういうふうに扱った映画があるということは、すごくいいことだと思いますよ」と語っていますが、その障害者の問題とやらが、すごく表面的で半笑いになるレベルなのは笑えません。体を自由に動かせない、奇異な目で見られる、恋愛や結婚なんてもってのほかという価値観を押し付けられるというエピソードって、わざわざ映像化しなくてもすでに広く知られていそうですが。

障害をポップに描く、ってそういうこと?

 当事者じゃないと分からない、リアルで気づかれにくい問題がさらりとポップに描かれているのかと思ったのは、期待しすぎだったでしょうか。パンフレットでは熊篠氏が実際に使っている車いすが紹介され、「このパーツを組み合わせると騎上位が可能」など、斬新な情報が掲載されています。ところが、せっかくのハイスペックカスタム車いすも情報も劇中セックスには生かされず、クラブでダンスをしたりミツを乗せてイエーイと疾走するくらいの扱い。なんかもったいない~。

 こうして続く浅~い描写は、まるで少女漫画のよう。「映画も深刻に描いたからって深く掘り下げられるとは限らないし、こうやってエンタテインメント寄りに作ってみたほうが届くこともありますよね」とパンフで語るリリーさん、ライトに描くのはいいけれど、「あとは察してね★」というのはちょっと違うのでは。

 結局なにを指して〈革命〉だったのか? なぜ幸せを〈世界に証明〉しなくてはならないのか? 思いつきで耳触りのいいフレーズを叫ぶミツは、モデルである子宮委員長そのものという感じはしましたが(ラストでビジュアルをかなり寄せてきたのは盛大に笑いました)、映画としてはやはり意味不明。

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山田ノジル

自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。当サイトmessyの連載「スピリチュアル百鬼夜行」を元にした書籍を、来春発行予定。

twitter:@YamadaNojiru

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