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男用エロマンガの中身を見てみよう「発射断面図」「セックスつきの母親」「連続勃起」

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 そして、エロマンガは読んでいてそこそこ面白い。エロマンガに限らず、エロ本業界全体がインターネットによってかなり経済的に厳しい状態になっていることは度々指摘されていることです。フリーライターの安田理央さんは「今、エロ本を読んでいる人は『ネットが出来ない人』」、「エロ本を読んでいるのは、保守的な情報弱者」ともおっしゃっている(エロ本業界の厳しすぎる現状について書きました)。限られた人だけが読む雑誌であるだけに、エロマンガ雑誌にも特殊な、というか、ちょっとおかしな欲望が投射され、それが面白エロ描写に繋がっているようにも思われます。

 例えば、おフェラで一発抜いた後なのに、そのままギンギンに勃起を持続させたまま即ハメ……とか、現実にはそうあり得ることではないものです。ごく単純に解釈したら「読者は萎えない絶倫に憧れている」ということですよ。そして、基本エロマンガは中出しなのも「ゴムなしのおセックスは気持ち良い」という男性本意の欲望が表れているようでわかりやすい。何よりも興味深いのは、多くのマンガの中で中出しシーンが接合部分をまるで人体解剖図のように描いていて、精液が膣内にたっぷりと注がれる状態を断面図形式で表現してる点です。現実には見えない部分を描写する意味では、マンガならではの表現ですが、それが果たしてエロいのかどうか、なかなか理解しがたい表現でもあります。

 ストーリーもかなり歪んでいるものが多いです。私がよく買うエロマンガ雑誌『快楽天』(ワニマガジン)は、毎号オムニバス形式で様々な作家さんによる作品が掲載されているのですが、ほとんど様式美化されたストーリーが展開されています。ざっくりと作品をカテゴライズすれば「陵辱モノ(厳しい女上司と無理矢理おセックス……など)」、「ツンデレモノ(ツンツンした幼なじみの女の子が実は主人公のことがずっと好きでおセックス……など)」、そして「逆陵辱モノ(憧れの先輩に無理矢理おセックスさせられて……など)」といった感じで分けられるでしょうか。

 どれも男性の欲望に結びつけて考えれば、征服欲であったり、運命の女性との和合であったり、なかなか気持ち悪いことはこの上ないですが、「陵辱モノ(征服欲)」と「逆陵辱モノ(被征服欲)」が同居しているのはちょっと複雑でもあります。征服欲はまだわかる。女性を(肉体的にも精神的にも)拘束したがる男性は少なからずおります。

 しかし、被征服欲は?  これはマザコン的な感覚と結びつけて考えると、シックリくるような気がします。以前、「イタズラ好きの良家のお坊ちゃんがメイドから無理矢理おセックスの手ほどきを受けてしまい、大人しく調教されてしまう」というドスケベストーリーを読んだことがありますが、これなどマザコン感覚がわかり易い例ですね。自分の身の回りのことをやってくれるメイドさんは、子供が求める母親像に重なりますが、それにおセックスが付いてくるとなれば、メイドからの逆陵辱とは、もはや「セックス付きの母親」というある種の理想型になってしまうわけです。一見、歪んだ性欲を表現しているようでありながら、実は多くの男性が持つ普遍的かつ根源的欲望に迫っているわけですね。

 こうしたファンタジーを片手に、今月も私はひとり、地方へと旅立ちます……。

■カエターノ・武野・コインブラ /80年代生まれ。福島県出身。日本のインターネット黎明期より日記サイト・ブログを運営し、とくに有名になることなく、現職(営業系)。本業では、自社商品の販売促進や販売データ分析に従事している。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra