インタビュー

乳がん、子宮と卵巣全摘出を経てなお「健康である以上は60代でも恋愛していたい」貴代さん・46歳

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瞑想(マインドフルネス)との出会い

――更年期の方で不眠を訴える方は非常に多いです。その場合、HRT(ホルモン補充療法)で女性ホルモンを補うと改善する方も多いのですが、貴代さんの場合は乳がん治療があるためそれができませんものね。

「はい、相反する薬を飲んでいるわけですから」

――瞑想が人生の転機となったということですが、始めたきっかけは?

「私が不眠で苦しんでるのを知った友達が、『ちょっと覗いてみたら?』と自己啓発っぽいサイトを教えてくれたんです。そこになにが書いてあったかをすごく簡単に言うと、『ものは考え方次第だ』ということ。例えば、ここに水が半分入ったコップがあるとしますよね。それを見て『もう半分しかない』と思うか『まだ半分もある』と思うか。どっちの考え方をするのか、ということなんですけど。それで、そのサイトには瞑想についても書かれていて。腑に落ちるものがあったので、そこから本を読み漁りました。なぜ瞑想がいいのか、脳にどういう風に作用するのか。そこをきっちり理解してから実践しました」

――先日、更年期関連のセミナーに行ったんですが、そこでもやっぱりマインドフルネスのお話が出ました。最近ではうつ病治療にも用いられているとか。注目されていますよね。

「いまでこそ瞑想はマインドフルネスって名前がついて、日本でも流行ってきてますね。でも私が知った当時はまだ日本では情報が少なくって。幸い私はアメリカに留学経験があり英語の読み書きができるので、海外のyoutubeとか見まくったんですよ、あの当時。瞑想について語られているものはもう片っ端から」

――最近は更年期世代で実践されている方も多いようですよ。

「あの、質問してもいいですか? 私、世代ではあるけど更年期についてよくわかってなくって。更年期って生理が終わる前にもあるものなんですか?」

――はい、一般的には45歳から55歳の間は更年期と言われています。その間に心身にいろんな症状が出るとされていますが、女性ホルモンの減少は40歳過ぎたころから始まるので、もっと早い年齢から症状が出る方もいるし、まったく出ない方も。個人差が大きいです。

「更年期で鬱みたいな症状が出る人もいるんですか?」

――います! ホルモンのせいだとわからないので、みんな最初は精神科に行っちゃうんですよね。精神科の先生も知識がないのか、自分のところで治療したいのかそこは定かではないけれど、更年期世代の女性が来院しても「女性ホルモンの減少のせいかもしれない」とアドバイスしてくれる先生が少ないようなんです。

「そこでホルモンバランスの変化による不調の可能性を教えてもらえたら、全然違うと思うのにな。鬱になる人ってね、自分をダメな人間だと責める人が多いんです。だから『これはホルモンのせいなんだ』とわかったなら、心が楽になるっていうか、出口を見つけられるっていうか。私の場合はマインドフルネスに行き着いたからよかったけど、それまではほんとにきつかったし。あのね、私、瞑想を始めてから性格まで変わっちゃったんですよ(笑)」

――えぇ、性格まで!?

「まず一旦どんなことでも受け止める癖がついたんです。そうすると、『なんだ、そんな怒るようなことでもないじゃん』って思えるようになるんですね。イライラすることがなくなるんですよ。あの、これね、変な宗教みたいに受け取られたら嫌なんですけど……でも私の場合はマインドフルネスのおかげで不眠や不安を乗り越えられて、そこからいいことばっかりなんですよ。転職もうまくいったし。前の私の性格なら、いまの社長から『一緒に仕事をしたい。ぜひうちで働いてほしい』なんてきっと言われなかったと思う。とにかく性格がキツかったんですよ、でもマインドフルネスのおかげですっかり穏やかになりました(笑)。ほんとうにいろんな人におすすめしたいんです」

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日々晴雨

都内在住フリーライター、独身。いくつかのペンネームを使い分けながら、コラム、シナリオ、短編小説などを執筆。コピーライターとして企業のカタログやHPなどのライティングに携わることも。