インタビュー

乳がん、子宮と卵巣全摘出を経てなお「健康である以上は60代でも恋愛していたい」貴代さん・46歳

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「一緒にいたい」とキラーワードを放った7歳年下の彼

――気になる彼は、どんな方なんでしょう。

「仕事関係で去年知り合った人で。当初はその人は結婚していたし7歳も年下だしで、興味なかったんですけど……あるとき海外出張が一緒になって、話しているうちに音楽の趣味も同じで、話が合うなぁってことがわかったんです」

――ここではその彼を年下君と呼びましょう! それでそれで?

「その年下君と2カ月前にセックスしちゃって。あ、年下君がいつのまにか離婚していたって話を聞いたせいもあるんですけどね」

――ええ~、それはもしや貴代さんのために?

「それはないと思うけど……離婚について私はずっと知らなくって。あるとき共通の知人と年下君と複数で飲みに行って。そこで離婚の話が出たんですよ。そのときに周りが『これからはほんとうに自分が一緒にいたい人と一緒にいるべきだ』って年下君にアドバイスしたんですよ。そしたら『突然じゃあ僕は貴代さんと一緒にいたいかな』って言いだした」

――なんだか恋愛ドラマみたいな展開(笑)。

「そうなの(笑)。で、『そんなこと突然言われても困る!』ってその場ははぐらかしたら……。そこからまったく誘われることがなくって。これはもう自分からガバっていくしかないなと。2ヵ月前に飲んだ帰りに年下君を家に連れて帰って、そこでガバっと。でも次の日の朝、なんかよそよそしくってね。『朝早く出社しないとダメだから』とか言いながらそそくさと帰っちゃった」

――そこから会ってないとか……。

「いや、それがしょっちゅうご飯や飲みには行ってるの。でもセックスにはならない」

――なんでしょうね、それ。話が合うし楽しいから一緒にはいたいけど、セックスはしたくないのかな……。

「たぶんね~離婚したばっかりでこれからいろいろ楽しく遊びたいのに、このお姉さんガンガンきちゃうなぁって戸惑ってるのかも」

――じゃあ「一緒にいたい」とか言うなっていうね(笑)。貴代さんは、このまま飲み友達でOKなんでしょうか。

「う~ん、どうなんだろう。でも向こうがその気じゃないなら、友達関係を壊すのはいやなんで。二度と自分からガバっとはいかないかな」

――そうなると、もう次を探さなきゃですね!

「そうですね~。自分が手術したりでしんどいときには、不倫の彼がいたことでいろいろ乗り越えられたってところもあるから。体だけじゃなくって心も頼っていたと思います。そういう人がいなくなってしまうのは寂しいし、今後誰もいないのはちょっと……」

――まだまだ恋愛もセックスも楽しみたいと。

「そんなにすぐに現れるとは思えないけど、探したいです。私、60歳ぐらいまではたぶんセックスも恋愛も謳歌してるんじゃないかなって、なんとなくそう思うんです、自分のこと」

――素敵! 昔は「生理が終わったら女として終わり」なんてバカなことを言う人も多かったですけど。

「私は生理や子宮にまったく執着はなかったですね。ずっと生理痛で悩まされてましたし、もともと生理にあまりいい印象はないので。だからそれがなくなったからって女として終わりなんて、考えたこともないなぁ。生理が終わるどうこうより、私はなによりまず健康でいたい。健康でいられるなら、当然恋愛もセックスもずっとしていたい。別に挿入や射精にこだわるわけじゃなく、いちゃいちゃしていたいんですよね。色恋沙汰まったくなしで仕事だけの人生は、私はちょっと……。もちろん女友達と一緒にいるときも楽しいんだけど、恋愛はまた満たされる部分が違うから」

――結婚していないことに対しての不安はもう払拭されましたか?

「いまはもう結婚にはこだわってません。前はあんなにも結婚していないことが不安だったのに、マインドフルネスをはじめてからそこもガラリと考えが変わりました。いまは60歳を超えたら周囲の独身の友達たちと近くに住む計画をよく話していて。みんなで楽しく暮らせる<村>を作ろうと考えてます」

――それは女だけの<村>でしょうか。

「ううん、男性にもいてもらわないと。高いところの作業とか困るでしょ(笑)。男性女性かかわらず、老後はみんなで助け合って暮らしていければ結婚してなくてもそれでいいじゃん! って思ってるんです」

――いいですね<村>ができた暁にはぜひ私も仲間に入れてください。今日はありがとうございました。

 

<取材を終えて>

女性ホルモンであるエストロゲンは、生涯でティースプーンに一杯とわずかな量しか分泌されないにも関わらず、その役割は実に大きい。40代に入り減少すると、イライラや鬱状態、不眠、体のこわ張りや痛みなど様々な不調を引き起こす場合がある。むろん膣についても例外ではない。インタビュー中でも少し触れたようにエストロゲンが減少すると膣を潤す粘液が減り、膣の壁が薄くなっていく。この状態になると膣の抵抗力が下がり、60代以降では痛みを伴う萎縮性膣炎になる人も多い。なにより、40代以降になるとセックスのときに濡れにくくなることはエストロゲンのせいであることを理解している人はまだ多くはないようだ。(女性でも知らない人が多いのだから、男性で理解している人は皆無に等しいかもしれない)。

けれどこれも決してすべての人に当てはまる例ではないことを、今回、貴代さんのお話を聞いて学んだ。小柄で華奢な体つきながら生命力に溢れていて、話し方もサバサバ、まさに「姉御」と呼んで頼りたくなるような貴代さん。体調的にはかなり大変な時期を経て、がん治療や子宮と卵巣の摘出手術という大病経験をしてこられたにも関わらず、悲愴感はまったくない。そのありのまますべてを語ってくださったことに感謝したい。いやしかし、マインドフルネス、かなり気になるな……。

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日々晴雨

都内在住フリーライター、独身。いくつかのペンネームを使い分けながら、コラム、シナリオ、短編小説などを執筆。コピーライターとして企業のカタログやHPなどのライティングに携わることも。