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セックスの相性を「セックスしたくない人」ほど真剣に考えたほうがいい理由

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したくない、を尊重するために。Photo by Jenavieve from Flickr

「理想のタイプの条件は?」と問われたとき、即答できる人はどのくらいいるのでしょう。これ、よくある質問ですが、実際はかなりの難問じゃないですかね。ほかにアラがあってもすべて目を潰れるほどの“条件”があれば即答できそうですが、事はそう単純じゃないと誰もが思うはずです。

 ただ私の知人で、過去の恋愛を徹底的にふり返って「身長178センチ以上」だけは譲れないという結論に至り、その一点に絞って婚活し、無事に成婚した女性がいます。ひとつの条件に絞ることで、かえって相手にアレもコレもと求めなくなり気持ちがラクになったのだといいます。

 なるほど、一理ありますね。人にはいろんな短所があります(私にも、たっくさんあります)。でもそのなかには「好きになれば特に気にならなくなる」「一緒にいるうちに慣れてくる」ものもありますよね。逆にいうなら、それでも「気にならなくなることは絶対にない」「まず慣れないだろう」というポイントこそが、その人にとって“理想の条件”なのでしょう。

 譲れる条件、譲れない条件を考えるとき、「恋愛、結婚以外の相手」に当てはめて考えてみるとわかりやすいかもしれません。「頭髪が薄い」は女性からあまり歓迎されないポイントのようですが(私はわりと好き)、たとえば、尊敬できる男性上司がいたとしてその人がハゲているのといないのとで、彼への尊敬や評価は変わるものでしょうか。ここで評価を下げる人はルッキズムが強いのかも。すっごいクソ上司がいて「私好みの筋肉質ボディだから」で評価が上がるわけでもありませんしね。

努力だけではどうにもならない面も

 相手が恋人、伴侶候補となると途端にアレコレ条件を挙げつらねがちですが、それによって逆に見えなくなっていることも多いもの。ふつうの人づき合いに引き戻して考えると明快になります。でも、恋人、伴侶とだけしかしない(ことになっている)セックスについては、これを応用できません。

 そもそも「理想のタイプの条件は?」にセックスを挙げる人は少なさそうです。「理想の男性の条件にSEXをあげる人は“セックスレス”に怯えている?」という記事では、次のようなアンケート結果を挙げています。

・積極的にSEXを求めてきてくれる人がいい。19人/100人中
・SEXの上手な人がいい。18人/100人中

 そのうえで“識者”の方は、記事タイトルにもあるとおり。「これを回答した人は、セックスレスが怖いのかも」としたうえで、「きっかけを男性側にすべて任せ続けるのは無理だしナンセンス。きちんとお互いに歩み寄る姿勢が大切」「セックスはコミュニケーション。最初に相性が合わなくても、一緒にしっくりくる方法を探すことである程度克服できるはず」と述べています。

 ただ、セックスについては、コミュニケーション、歩み寄りだけではどうしようもないところが確実にあると私は考えています。生理現象に関わることで、理屈では説明できない感覚、価値観も多く含んでいるため、いろいろと努力した結果「そもそも相性が悪かった」という結論に至ったカップルは、これまで星の数ほどいたはずです。

 ここでいう“相性”は男性の凸と女性の凹の話ではなく、その人のなかでセックスがどういう位置づけか、性欲の程度、それまでの性遍歴、性的価値観、子どもを(自然妊娠で)ほしいのか……など、さまざまな要素が組み合わさって総合的に測られるものです。その人の育ち方、生き方によっても大きく左右されるもので、これがある程度は合致していないと「セックスレスを恐れる」以前に、そもそもお互いが納得するセックスライフが実現できない可能性が高いでしょう。納得するセックスライフ、のなかには「セックスしたくない」も当然含まれます。

 コミュニケーションを取ることである程度、克服はできる。でもその“程度”によってはどちらか、もしくは双方に多大な肉体的、精神的、時間的負担がかかるのが性生活です。だったら最初から「相性のいい相手」と交際なり結婚なりしたほうがいい。

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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