
(C)緑丘まこ
先日、数年前オーストラリアで半年間一緒に暮らしていた友人ナツコとケイコに再会した。
その夜、一軒目の飲み屋で飲んでいた時、わたしたち三人の中で一番年上でいわばお姉さん的存在なしっかり者のケイコがしきりにこう言っていた。
「ああ、やりたいやりたい。最近すごくやりたくて仕方ないんだけど」
以前一緒に住んでいた頃、ケイコはあんまり性欲がないと言っていた挙句、オナニーすらしないと言っていたため、ここまで発情している彼女の姿は初めて見た気がする。
まるで発情期のわたし並の性欲である。
「性欲ない」はずの友人がムラムラ。元カレちんぽの誘惑に思い悩む
「わたしも〜。やりたい〜。てかさ、ドラ○エのグレ○グが登場しただけで最近濡れる〜!(笑)」
こう話すのは、オーストラリアから一時帰国中のナツコである。
ナツコは人妻で只今妊婦でもある。旦那さんはオーストラリアで留守番だ。そして既に一児の母でもあるのだが、独身時代とまったく変わらないまるで女優並みの美貌を保っている。
そんな美女ナツコの性欲がかなり強いのは、オーストラリアで一緒に暮らしていた頃から知っていた。よく堂々と「あームラムラするからオナニーしようっと!」と言いながら部屋に行ってオナニーしに行く姿を何度も見ていたし。しかし……。
「ゲームで発情するんや(笑)」
ドラ○エのキャラクターで濡れると公言するナツコに笑ってしまった。
いや、笑いごとではないか。わたしにもドラ○エではないが、乙女ゲームと呼ばれる恋愛シュミレーションゲームで感情が高ぶりオナニーした経験があったのだ。
ゲームはあなどれない。むしろゲームや漫画のイケメンの方が生身の男性よりオナニーのおかずになる。現に生身の場合、わたしもナツコもおかずの対象は女性の裸なのだ。
「グレ○グ、意外と若いと思うのよね〜」
ケイコはナツコにそう返したが、すぐに
「あーやりたい。ムラムラする。どうしよう」
と再び呪文のように繰り返し出した。
「タカシ君から最近連絡あって会おうって言われたんだけどね、まだ迷ってるの」
このタカシ君とは、ケイコが最近失恋した元彼である。
別れを切り出したのは向こうからなのに、ケイコにまた会いたいとタカシ君は言うのだ。
「体の相性は悪くなかったし、もうムラムラしすぎてやばいから、いっその事いつもやってた上野のラブホテルで会おう、って連絡しちゃおうかなぁ?」
ケイコはため息まじりに言う。 失恋した相手には会いたくない、だけどやりたい……複雑な心境だろう。 ケイコが失恋して、泣いている姿をリアルタイムで見ていたわたし自身も複雑な気持ちであった。
「やりたいやりたい。タカシ君に連絡しちゃおうかなぁ?」
と“やりたい音頭”炸裂の暴走するケイコの性欲を止められるのは、おちんちんしかない。 しかし、わたしはケイコに確認したかった。
「ケイコ、タカシ君とやったらまた好きになったり……」
「ないない、100パーないわ。本当にただやりたい。やれるなら誰でもいい」
ケイコの断言する力強い口調は、本当に彼への未練をみじんも感じさせなかった。
「じゃあいいんちゃう? 連絡しちゃったら? やっちゃえ!」
口ずさむように言葉が出た。
「うーん、でもさ、実際タカシ君とセフレの関係になっちゃったら性生活に満足して、婚活しなくなる気がするんだよね。それでずっとひとりぼっちになったら嫌だなぁ」
ケイコの懸念はもっともだ。
「……でもやりたい」
「連絡しちゃえ!」
「……でもなぁ」
ケイコとわたしの押し問答を見ていたナツコが冷静にこう言い放った。
「それなら道具使ってオナニーしちゃったら? わたしなら10秒でイッてスッキリするし賢者モードになるよ!」
「道具!!」
ナツコは、オーストラリアで一緒に暮らしていた頃、バイブやローターの素晴らしさをわたし達に語ってくれた事があった。 その頃は、全力で「オナニーなんてした事がない」と言いながら、バイブやローターなんて興味ない顔をしていたケイコだったが、この日の食いつきは信じられないくらいよかった。
イケメンを落とす“エロゲー”をオカズに大人のおもちゃで……
「道具かぁ。えー、試しちゃおっかなぁ?」
ケイコは言う。
「あれ、でもさ、ケイコはオナニーしないんじゃなかったっけ?」
わたしはケイコにツッコミをいれた。
「いや……まぁたまにはするよ。でもさ、最近全然してないから………だからムラムラするのよ」
……なるほど。確かにケイコは仕事がかなり忙しく、オナニーする時間がなかったというのも納得であった。 しかし、わたしは嬉しかった。以前はしきりにオナニーなんてしない、と言っていたケイコがとうとうオナニーをしていると話してくれたのを。もしくは、オーストラリアでのナツコのオナニー宣言後にはじめてするようになったかもしれないが。いずれにせよ、オナニー仲間が増えたのは嬉しい。
「ところで道具使う時は何を想像するの? 動画とかみるの?」
ケイコは興味津々にナツコに聞いた。
「まーアダルト動画もいいけど、燃えるのはエロゲーかなぁ? 女性向けのエロゲーもあるんだよ」
「エッエロゲー!?」
同時に驚くわたしとケイコ。
「これとかさー、最高にいいの。超ときめくよ! イケメン落としてから早くやるシーンみたいから、キーボード連打して早送りしてる(笑)」
ナツコがそう言いながら携帯でググって見せてくれた。
「かっ、カッコイイ!!」
ナツコが見せてくれた画面には、そのエロゲーに登場するイケメン達がキラキラ輝いていた。
ナツコいわく、トキ○モのような恋愛シュミレーションゲームの過激(エロ)版のようなものだと言う。
わたしはトキ○モにわたし自身一時ハマった事があったが、ナツコと一緒に暮らしていた頃、彼女からソフトを借りたのがきっかけだった。
また、ケイコもトキ○モ信者(?)だった。
「いやーん、ときめき解消したい〜」
ケイコは目を輝かせて言った。
「だったら店出た後、道具を見にドンキ行く?」
ナツコが誘う。
「行こう行こう!!」
即答するわたし達。
飲み屋を出て、まず向かったのがドンキホー○であった。
「ドンキにローターとか売ってるんだ、知らなかった」
オナニー歴が長いとはいえ、道具を買った事がないわたしには新たな発見で新鮮だった。
オーストラリアに移住したナツコが、ドンキにある大人のおもちゃコーナーを知り尽くしているのはなんだか勇ましかった。
日本に帰ってくる際、時々ドンキでローターなどを購入するのだという。
ドンキホー○は大人のおもちゃの宝島。女3人でオソロのローター購入
ドンキのアダルトグッズコーナーは、かなり種類豊富で、大人の宝石箱がひっくりかえったかのようにお宝が沢山眠っていた。
男性用のオナホールや、テンガ、そして女性用の………
「うわっ、種類多すぎ!!」
わたしは、女性用のローターやバイブの種類豊富さに驚きを隠せなかった。
おもちゃ屋に来た子供時代に戻ったような心境でワクワクしながらそのコーナーを見渡した。
………そして、三人みんな仲良くローター購入。
もちろんナツコ先生のご指導のもとで厳選して。
ローターというと、クリトリスなどの表面を刺激するものしかないイメージだったが、わたしの常識はくつがえされた。
クリトリスなどの表面を刺激する小さなローターと、まんこに挿入する用の少し大きめなローターが一緒になった素晴らしいものが存在するのだ。
わたしは、オナニーをする際、表面派でまんこの中には指などつっこまない派だが、ナツコが
「外と中を刺激するローターの方がいいよ。10秒でイクし、本当に超スッキリするから」
と力説していたので、そのタイプのものを購入した。いや、わたしだけではなく三人とも同じタイプのものを購入した。
超スッキリして賢者モードになる……最高すぎだろう。道具を頼らず自分の指だけでオナニーするわたしは、実はオナニーだけで性欲のムラムラが発散されることはない。一瞬スッキリしても、セックスした時のような超スッキリ感はないのだ。
でも、この道具を使えばセックスのようにスッキリするかもしれない……。
その後、飲み足りなくて二軒目はファミレスで飲んだのだが、ケイコがなんと我慢できずに料理が届くまでの間、ガサゴソとローターを箱から取り出した。いくら周りに客がはいないとはいえ……
「ちょっ(笑)、ケイコやめてよ(笑)」
必死に止めても
「だってどんなのか気になるんだもん〜」
と電池までいれる始末。その瞬間
ブルブルブルッ
けたたましい音をたててテーブルの上で踊るケイコのローター。
「ええっ、これスイッチとかないの? あっあった、これか(汗)」
さすがに慌てふためいてケイコはローターのスイッチを切り、カバンにしまった。
一部始終を見ていたわたしはなんというか、率直にこう思った。
本当に大人のおもちゃなんだなぁ、と。
ケイコが我慢できずにファミレスでローターを取り出す姿はまさに、買ってもらいたてのおもちゃを家に帰るまで我慢できずに開ける小さな甥っ子にそっくりであった。
帰り際、ケイコはナツコが勧めていたエロゲーをネットで購入していた。
「あー、ゲーム届くの楽しみ! これから大忙し、沢山のイケメン落とすために」
ケイコはルンルンスキップするような口調で満面の笑み。もうすでに恋する乙女の表情だ。
とにかく、ローターもエロゲーもゲットしたケイコの欲求不満解消は、もう約束されたようなものだろう。
ゲームもローターも購入して幸せそうなケイコの笑顔を見ると、泣きながら別れた元彼に会うよりてっとりばやく性欲を解消できて、かつ面倒な事もなくてよかったのでは、と思う。
ローターの快感は、セックスとはまた違う、未知の楽園!
後日談。
それぞれローターを使用した感想を三人のグループラインで報告しあったのでその感想をまとめてみよう。
ケイコ 「たった一回で大満足、スッキリ」
ケイコは購入したその夜に早速使ってスッキリしたのだという。
よかったよかった。
続いてナツコ「よかった。まぁ、普通だから70点」
ローターと付き合いの長いナツコ先生だからこそ70点というのは、安物なのになかなかの高得点かもしれない。(三人とも980円のローターを購入)
では、わたしの感想。
なっ……何故、わたしは今までローターを使わずにオナニーをしてきたのか。
わたしの今までのオナニー人生を例えるとまるで、肉や具材のないルーがかかった味気ないカレーを食べてきたようだ。
なんて損をしてきたのだろうか。
ローターをクリトリスにあてた瞬間、わたしはすぐに悟った。
これはわたしのオナニーライフに最高のスパイスが降り注ぐ、と。
自分の手では絶対にかなわない高速なバイブ技でクリトリスを責め、これまで未知だったまんこに挿入するオナニーも、このローターであっさり実現。まんこの中でローターが小刻みに震えて、もう片方のローターでクリトリスをいじる。
き……気持ちよすぎる!!
なんだこれ?
まんこに挿入する際、ローターにローションを塗ったが、ローションなど必要なかったと思えるくらい、わたしのまんこは濡れ濡れになった。 また、速度切り替えも自由自在で刺激が飽きない。 セックスとはまた違う、未知の楽園に足を踏み入れたようだ。
10秒でイってスッキリしたら賢者モードに入るよ。
わたしは、ローターで果てた後、ナツコが言ったこの言葉に、心の中で一万イイねを押した。

(C)緑丘まこ