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セックスにおける大事なことは、すべて「紅茶の飲み方」に置き換えられる

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おいしく飲みましょう。Photo by daneshjai from Flickr

 私が処女だった時分、「早くセックスを経験してみたい」と思っていました。当時から結構なオナニストだったので、「これでこんなに気持ちいいんだから、セックスはもっとすばらしいに違いない!」と思い、期待に胸を膨らませていたのです。

 でももちろん、怖さもコンプレックスも人並みにありました。それを乗り越えて経験するに至ったのは、もともとあった性への好奇心の強さに背中を押されたからにほかなりません。好奇心とコンプレックスのバランスが崩れて頭でっかちになる前に、“たまたま”適切な相手とチャンスが訪れたから、その一線を超えられただけ、だと思っています。ま、当時は自分自身にものすンごいことが起きた! とひとりで盛り上がっていましたけどね。

 ドラマ「オトナ高校」が先週から放映され、第一回目に対する賛否の声はすでに各所で見ることができます。

ドラマ『オトナ高校』は童貞と処女をバカにしている? 過剰なセックス幻想を破壊するセリフ満載

 少子化対策へのドラスティックな解決策として国家が「第二義務教育法案」を打ち出し、性経験がないまま30歳オーバーした男女に「本当のオトナ」になるための、つまりセックスできるようになるための教育を施すという内容で、性経験の有無で人格までもが徹底的に否定され、美人やイケメンとセックスもしくは結婚することこそ人生の勝利で、しかもその数が多いほどいい、という世界観は「ヒドイ」のひと言です。が、第一回目を見るかぎり国家が生殖だけでなく、恋愛結婚までを管理するディストピアをブラックユーモアにたっぷり描いたものと見ることもできます。

セックスをする前に知っておくべきこと

 そうはいっても、オトナ学校には高橋克実演じる50代の男性が入学しているのに同年代の女性は見当たりません。それは「少子化解消が目的だから、生殖年齢にある男女が対象」といいたいのかもしれませんが、ここでは男性も年齢が上がるほど精子の機能が低下して妊娠させづらくなることはまるっとスルーされています。制作側の「男は何歳になっても子ども作れるからサ! ガハハ」という勘違いにまみれた笑いが聞こえてくるようです。

 ほかにも、コンドームをつけようとしない男性をどうすればいいか、という問に対して同校の教師は「男性に気持ちよくコンドームをかぶせる方法を女子が習得する」といったような指導をしていて、「そこは男に付ける必要性を説けよ!」と全力でツッコみたくなる……などなど、随所に男女の非対称性が見られ、個人的にはそちらのほうがよほど胸クソ悪いと思えました。

 三浦春馬演じる主人公はじめオトナ学校に入学した面々は、異性(ここにも問題点はあります)とセックスするための手段を今後学んでいきます。その内容はさておき、「性経験をする前に知っておいたほうがいいこと」というのは、たしかにあります。避妊にまつわることだけでなく、「セックス」というものへの態度が何も身についていないまま、ポルノ経由のイメージだけが先行した状態で初セックスに臨むとなると、不幸な結果につながりかねません。

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

@_momoco_

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