――結局、Sさんをどうにかしてでも組に入れたかったってことキュよね。
「俺は母親の親戚に警察関係もいるから、ヤクザにだけはなれませんって言ったんですけど、『それじゃーわしの顔が立たんのじゃ』って」
――え、顔立たないキュウか……?
「いや、ヤクザの理屈って無理くりじゃないですか」
――確かにアウトレイジ観てても、そうキュウね。メンツとか、謎理屈通してくるキュウ。
「仕方ないので、『当番は入ります、その代わり後輩たちは帰させてくださいっ、当番だけはしますから組に入るのだけは勘弁してください』ってお願いして。そしたら、まぁ仕方ないかって言う感じで渋々承諾してくれたんですけど、その譲歩されてる感じが、すげぇ理不尽だなって思いましたね」
――譲歩も何も……それがヤクザのやり口なのキュね。ところで、当番って何キュウ?
「昼から翌日の昼までの交代制で、事務所の電話番をするなど留守を守る役目ですね。その日から当番に入らされて、恐ろしいことに3カ月間、1回も帰宅できなかったです」
――長っっ!!!! 超いやキュウ!!!! 交代制のはずじゃないキュウ?
「交代制なんで次の当番の人が来たら本当は帰っていいんですけど、『今から親分がどこそこに行くから、お前ガードとして付いていけ』と命令されて。もうね、断ることはできないんですよ」
――え、じゃあ寝る時間はいつキュウ……?
「ん~、だから何日目からかシャブをやり始めましたね、寝られないので」
――そこでエナジードリンクとかじゃなく、早々にシャブっちゃうキュウ!? 勧められたキュウ?
「そこの事務所の人たち、みんなやってるんで当たり前みたいな」
――覚醒剤を使用しつつも、親分や先輩の前では礼儀正しくできるものなのキュウ??? ラリって「おい、そこのハゲ」とか言っちゃわないキュウ?
「それは人によりますね。できない人の方が多いですね」
――え、じゃあラリって怒られる人とかもいるんじゃないキュウ? Sさんは大丈夫だったキュウ?
「僕は限度を守ってたんで大丈夫でした。覚せい剤って要はヒロポンなんで、あれって『2日寝ないなら1アンプル』とかルールがあるんですよ。『今は何時間くらい寝てないから、これくらい打とう』って計算して打てば案外大丈夫。夜中に電話がかかってくるタイミングとかも把握してたんで、それまで2~3時間仮眠したりして」
――快楽に溺れず、節度を守って打ってたキュウね。節度って……。今の話だと、当番はしててもヤクザの組員にはなってないキュよね?
「それが、いつのまにか組員にされちゃってましたね。当番生活も3カ月くらい経ったある日、事務所に届いたファックスを整理してたら、自分が組に入ったことになってる旨が書いてある紙が流れてきて。その頃ってメールとか発達してなかったので、毎日ファックスで全国の○○組○○系列に○○が新規登録っていう情報が入ってくるんです。それって見栄の張り合いでもあるんですよ、うちにはこんなに新人が入ってきてるぞっていうね。で、その紙に俺の名前が勝手に書かれてたんです。えぇぇ??って即、親分に『書いてあるんですけど』って言いに行ったら『おめでとう』って……。もう逃れることはできないんだなって、その時に悟りました」
――おめでとうって……本当自分たちの都合しか考えてないキュウ。それがお前らのやり方か!?(古い) 3カ月監禁されてからの睡眠不足でシャブからのコレだったら、悟っちゃうキュウね……。
「もう諦めるしかないって。でも腹は立つので、これは俺を巻き込んだ先輩を見返すためにも、どうせやるなら上になってやろうって決めたんです。登録されたんで親分と盃を交わすんですけど、そこで『俺は親分のそばにいて支えたいと思います』と言い切って、秘書の役目を与えられたんです」
――秘書って、いいポジションじゃないキュウ?
「そうです。秘書の次が幹部(※若頭とかキュウ)。秘書の仕事は、親分と一緒に全国の組の幹部たちに会いに行くんですけど、親分が酒が全く飲めない人なので代わりに酒豪の俺が飲むのがメインでした。普通は俺みたいな立場の奴が一緒に飲めないような、全国のヤクザの偉い人たちと飲んで仲良くなれました。組を辞めた今でも沖縄旅行に連れてってくれたり、辞めた時も『あそこ辞めたんなら、俺の舎弟になるよね?』みたいな感じで可愛がってくれましたね。ヤクザやってて良かったことはそれぐらいかなぁ。それ以外は本当大変でしたよ」
――Sさん、一般人が常識内で想定する「大変そう」を逸脱した大変な出来事ばかりを経験してそうキュウ……。これを読んでる読者もみんな疑問に思ってることだと思うけど、そもそもヤクザって何でお金を稼いでるキュウ??? という話を次回、根掘り葉掘りきいていくキュウ!
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第2回:ヤクザに給料はない!そのお金事情と女事情~恐喝で稼ぎ、シャブセックスを楽しむ
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