
(C)shiqchan
『アウトレイジ 最終章』大ヒット、世界のキタノおめでとうキュウ。というわけで勝手に公開を記念してヤッてきた元ヤクザインタビューもついに最終回。元ヤクザのSさん(46)に犯罪まみれの人生を聞いてきたけど、最後はどうやって指を詰めることもなく無事に組を抜けられたのか、教えてもらったキュウ。
▼インタビュー第1回:
『アウトレイジ』の現実! 元チーマーで元ヤクザが歩んだ法律無視の人生が怖すぎる
▼インタビュー第2回:
ヤクザに給料はない!そのお金事情と女事情~恐喝で稼ぎ、シャブセックスを楽しむ実態
服役中に一家離散
――Sさんは組の秘書になって、どれくらいで幹部になったキュウ?
「いや、幹部になる前に色々事件があって組が解散してしまったんです」
――オォォ! これは脱ヤクザ チャン~~~ス!!!
「それがね、なんやかんやあって次は名古屋の組に登録されちゃったんですよ。解散してから俺が嫌いな奴が『俺のところに入れ』って誘って来るのが嫌だって話をNさん(組に入るきっかけを作った先輩)にしたら、『それならとりあえず名古屋で登録しときなよ』って言われて流されるまま登録。Nさんは解散後、さっさと名古屋の組員になってたんで、それで。あれ? 深みにハマってるぞって、冷静になった時に気づきましたね」
――やっぱヤクザの世界から足を洗うのって、相当気力がいるキュウね……。
「その後はオレオレ詐欺とかやって稼いでたんですけど、行き詰まってきまして。オレオレ詐欺を一緒にやってたイケメンの舎弟は逮捕されてしまったし、段々とお金もなくなってきたんで、目先の金を工面するために恐喝とかをやり始めました。もっと大金を取るために芸能関係にも手を出し、結局、恐喝で懲役に行くことになりましたね。仲間全員で捕まるのは馬鹿らしいので、俺がお勤め行きますって」
――Sさん、何年刑務所に入っていたキュウ?
「4件の恐喝と2件の恐喝未遂で懲役4年ですね。でも中で喧嘩をして4年半に伸びました。懲役入る前に、兄貴分にお願いをしたことがあって。当時、子供が産まれたタイミングだったんですよね」
――キュキュウ~~!!!! 逮捕と子供誕生が同じタイミング!てか、いつの間に結婚して種仕込んでたキュウ~~? 出産と同時に逮捕って嫁の心労半端ないキュウ…。
「細かく言うと、逮捕の手配と出産のタイミングが同じくらいで、すぐ懲役入るの嫌だったんで1年くらい逃亡してたんですよ。それで、嫁と子供をお願いします! って、その時オレオレ詐欺で得た金が3000万くらいあったので、兄貴分にお金を渡して嫁と子供の生活費を工面してもらうようにして逃亡。全国を飛び回って飲み歩いたりしてたんですけど、東京育ちなんで地方都市に行ってもやっぱりつまらなくて、だんだん『まぁいいや、捕まっても』って気持ちになってくるんですよね。それで歓楽街で喧嘩して警察沙汰になって見つかって逮捕って感じ」
――じゃあ、喧嘩さえ起こさなかったら意外と逮捕されずに暮らせてたんじゃ……。警察の追っ手、ゆるいキュウ。
「懲役に入ってから裁判をするにあたって、情状酌量のために嫁と子供に来て証言してもらいたかったんですけど裁判当日になったら来なかった。友人が家に確認に行っても、いない。さらに遠方の刑務所に送られた矢先、父方のばあちゃんが死んだという手紙が来ました。そのすぐ後、父親が自殺したという連絡が来て」
――畳み掛けてくるキュウね。なぜ自殺を……?
「ん~。父親は自分の店を閉店してからタクシーの運転手になって、ようやく個人タクシーの資格が取れて、その資金をばあちゃんに援助してもらって……っていう矢先に、ばあちゃんが亡くなったので、親父大丈夫かな? とは思ってたんですけどね。元々ダメな奴だったし。ばあちゃんの別荘近くで、車で練炭炊いて自殺してたみたいです」
――NO資産のあたしの家系からしたら、おばあちゃんが残した資産もあるし別に死ななくてもいいんじゃ? とか思っちゃうけど、それとこれとは別なのキュウね。では、おばあちゃんの遺産がSさんに来たキュウ?
「ばあちゃんの直系の子供に資産がいくので、親父が亡くなったからには俺に来る予定だったんですけど、なんか親父のサインがないから遺産相続の手続きが面倒で。しかも親戚から遺産相続の件について山ほどいろいろ書かれた手紙が届いて、親父の借金がいっぱいあるからお前は遺産相続を破棄しろ、とか。そういう手紙がしょっちゅう来てた。
だんだんストレスなのか過呼吸を起こすようになっちゃって、刑務所の仕事の作業をしてる最中も急に身体が固まって動けなくなったりして。そんな中、絶縁されてた嫁さんのお母さんから珍しく手紙がきたんです。嫁が、覚せい剤で頭がボーッとした状態で全裸で赤子を抱いたまま川崎駅に立っているところを保護されて病院に入ってます、と。いろいろやべえなと思いました。
過呼吸も、急な身体の硬直も頻度が増していって、工場の刑務官に『お前一度診てもらえ』と言われて2カ月に1度来る精神科の先生に診てもらったら、重度のうつだと診断されて病舎で生活することになりました」
――完全アウトロー人生のヤクザでもうつになることってあるキュウね。
芸能プロダクションの恐喝部隊として暗躍
――病舎生活を経て4年半の刑期を終えて出所。その後はどうしたキュウ? 念願の脱ヤクザ???
「いや、その段階ではまだ脱ヤクザ出来なくて。俺が出たとき、組が芸能事務所をやってたんです。しかもNさん(先輩)が事務所の社長に就任してて『S、一緒にやろう』と。俺の後輩もスタッフとして何人か事務所で働いてましたしね。今はその事務所はないですけど、大手の芸能事務所と二社契約制でグラビアアイドルとか何人か所属させて。その大手事務所の社長がクラブで遊んでた時代からの仲間で、前にNさんに社長を紹介したことがあったんですが、そこの繋がりでNさんが事務所の社長になっていたという経緯です」
――ややややっぱり芸能事務所関係ってヤクザと繋がってるキュウ~~!! 朝ドラ『わろてんか』では決して描けない、まさしく絵に描いたような芸能界キュウ!
「事務所には2人くらい有名なドラマに出て女優になった子がいたんですけど、大体はグラビア系ばかりでろくに仕事もないんですよね。それも、どっかの親分が『俺の女が芸能やりたがってててさ。どっかの紙媒体に一回グラビア載るくらいでいいからさ』ってゴリ推ししてきた愛人だったりね。そんな中でも『この子は売れそうだな』っていう素材は、マネジメントは大手事務所の方にやらせて、売り上げは折半。俺らは何もやってないけど売り上げは入ってくる仕組みにしてました」
――それだと、大手芸能事務所の方は怒らないキュウ?
「いや、その代わりうちの事務所は大手が抱えちゃったトラブルを処理してあげるんですよ。たとえば、今や妻子持ちの売れっ子俳優Eが若かりし頃、大手事務所の方が抱えてるグラビアアイドルIを強姦した事件があって。そのときは俺が俳優の事務所を恐喝する係でした」
――うわ、初耳キュウ!!! 恐喝ってどうやるキュウ?
「だって、示談にしましたから、公表はされてないですよ。恐喝っていうか、トラブルが起きた時に、お互いの会社が不利益にならないように『示談でどれくらい払いますか?』みたいなのを、ちょっと強めに言うって感じ。なので、二社契約の大手芸能事務所の『恐喝部隊』みたいな役目でしたね」
――恐喝部隊! ほんと怖いキュウ……。
「でもね、島田紳助事件以降、芸能界がオレらに冷たくなりましたね」
――うわあ紳助の名前って久々に聞いたキュウ! 実際に紳助はヤクザと仲良かったキュウ???
「お金の関係とか、色々と繋がってましたからね。紳助はバカだから、酔っ払うと偉い人(ヤクザ)の名前出して『あいつは俺の舎弟だから』ってデカい口を叩くんですよ。それを良く思ってなかった下の奴らが警察にリークしたんじゃないかな。やっぱ、そういうことをしてると人の反感を買うんですよ」
――へえ……そういう態度取らないように、あたしも気をつけるキュウ……。芸能事務所恐喝部隊としてのSさんの給料は、さすがに月給制だったキュウ?
「そこも給料はないですね。示談が成立したら、そのお礼としていくら、みたいな感じでした。事務所間のトラブル以外にも、細かいトラブルがたっくさんあって、そういうのは組を通さないで解決してほしいっていう要望が多かったんですよ。『組を通さないでSさんやってくれるかな? お金はいくらでも払うからさ』みたいな。なので、それだけでも充分食べていける金額になってましたね」
どうやってヤクザから足を洗ったのか?
――Sさんがムショに入る前に産まれた子供は、どうなったキュウ? 嫁はシャブ中で全裸徘徊……誰が育てているキュウ?
「娘は養護施設で育ててもらってました。出所後に会いに行こうとしたんですが、親がヤクザだと会わせてくれない。それもあって芸能事務所の社員っていう肩書きを持って、組を辞めてそこで働いてますよっていうテイにして面会に行ってました」
――ううっ、娘さんのことを思うと胸が苦しくなるキュウ(泣)。娘のことを思うと、この流れでヤクザ抜ける流れになりそうキュウ……!
「いや、芸能事務所をやってたのは2年だけで、その後また恐喝で全国指名手配にかけられてしまって」
――またかいっっ!!!!!
「本庁の刑事に『あれ、全部俺がやったから。そのうち出頭する予定なんで』って電話を入れてから逃亡1年半」
――また逃亡してるキュウ!!!!
「出所して2年しか経ってないのに、また行くのイヤだな~と思って。出頭命令を受けて、刑事に『今バタバタしてて2~3週間後に行くから、待ってて』って言って、逃亡して1年半ふらふらしてましたね。で、前のきっかけと一緒なんですけど、これまた酔っ払って喧嘩して人殴って警察沙汰になってバレて逮捕、でしたね。この時も、もういいかなっていう気持ちもどこかにあったんだと思います」
――そして、また4年の月日を刑務所で過ごすことになるキュウ?
「そう。捕まった時に、娘と手紙のやり取りをしたいから組に脱会届けを出したいって言ったんです。だけど、今までヤクザだった人が、脱ヤクザをしてから刑務所に入るって厳しいんですよ」
――厳しいとは?
「前に虐めてた組の奴と刑務所の中で会った時に、組の看板がないと虐められたり、おとな~~しくしてなきゃいけない。でも、その時は娘が毎月手紙を書いてくれてたんです。俺は入院してると娘には嘘ついてたなんで。逃走中に作った彼女もいい奴で、毎月面会に来てくれてたんですよね~」
――全国指名手配のくせに、あたしよりもリア充な恋愛ライフしやがって……。出所したのは何年前の話キュウ?
「3年前くらいですね」
――逮捕された時に脱会届けを出してるから、もうヤクザではないキュウよね?
「表向きは。でもたぶん、内部の名簿には残ってます。もう組には連絡しなくていいかな~って思ってたけど、1回目の逮捕時に嫁と娘のことを頼んだ兄貴分が今や関東代表になって、立場が大きくなってしまったので、弟分がいないと格好が付かないということで登記され、舎弟頭関東副代表みたいになっちゃってる(笑)」
――ヤクザスパイラルから抜け出せないキュウ!!!
「それが、抜けることは出来たんですよ。ヤクザ一辺倒だった兄貴が急に辞めるって言い出しまして。息子さんが高校に上がって、スポーツでかなりいい成績を残しているらしく、親がヤクザということで息子の足を引っ張りたくないという理由で、もう辞めるって。上の人から『何言ってんだ!』とか怒られてたけど、辞めるの一点張り。俺も一緒にいたので『Sはどうするんだ!』と詰め寄られたけど、兄貴辞めるなら辞めますって、2人で怒ってる幹部たちを無視して帰ってきました」
――幹部怒ってるのに無視して大丈夫なのキュウ?
「多分大丈夫ですね。そこの若手とかは俺が育てた奴らが多いんで、時々電話がかかって来るんですけど、『俺、辞めたからさ』って宣言してます」
――ヤクザになるきっかけを作り、出所後もまた名古屋の組に誘ってきた、あの因縁のNさんには出所後に挨拶したキュウ?
「いや、もうNさんは失脚しちゃってて。俺が2回目の逮捕をされる直前に、仲の良かった関東連合のTって奴が襲撃されて殺された事件があったんですけど、その時にTが襲撃される引き金を凡ミスで作ってしまったのがNさん。このことだけでも暴露本書けちゃうなぁ……俺、事件ありすぎだよね?(笑)」
――ってか、事件しか起こってないキュウ……。今、亡くなったTさんの名前でググったら「関東連合 最強の男 伝説」って書いてあるキュウ……怖……。
「全国指名手配で、よく街中でポスター出てるMの誕生日パーティーに出席した帰りでの出来事だったんですよね。さっき話したオレオレ詐欺のイケメンの後輩とTが同級生で、それで紹介してもらって、そっからTは俺の舎弟になって仲良くしてたんで、やっぱり死んじゃったのはショックでしたね。搬送された病院に行ったら、頭の半分が無いみたいな悲惨な姿。よく生きてるなって思うほどグチャグチャだった。Tもバカだったから、田舎によくあるようなバス停を持ち上げて、それで相手の腕を潰して片腕無くさせちゃったりしてたし、いつまでも関東連合の親分気取りで煙たがられてたりしてたところもあったからね」
――さっきから、登場人物もエピソードもゾッとするものばかりキュウ……もう聞きたくないキュウけど……Sさんはヤクザ人生で襲撃されて殺されかけたことはないのキュウ?
「ん~襲撃されたことは何度もありますよ。車に轢かれたりとか」
――その言い草だと、あんまりダメージ受けてないように見えるキュウ!
「なんかね、身体が丈夫で大怪我はしてないんだよね。ボッコボコに殴られて、あ~死ぬ~とか思っても意外と大丈夫だったり。轢かれた時は、明らかに俺を狙って加速してきたからね。でも、擦り傷くらいで骨折とかもしてない」
――人間って不思議キュウ……。ちょっとコケて頭当たっただけで死んじゃう人もいるのに、ピンポイントで狙われて轢かれても擦り傷だけなんて……。それはSさんを殺す目的だったキュウ?
「ん~分からないですね。でも多分、見せしめなんだと思いますよ」
――で、出た。ヤクザの常識、見せしめキュウ!(恐怖)
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