
Queerライター・コウの「変態読本」
こんにちは。コウです。
食欲?芸術?いいえ、変態の秋!がやってきましたよ。と思ったのも束の間、なんか最近寒すぎません? 秋味もスーパーから姿を消したわ!ショック~!
そして…私はと言えば、せっかく変態の秋だと言うのに、数々のネタを逃して今日に至ってしまいました……
8月8日には新しくコルセットの日なる記念日が設立されたり(美しくウエストがくびれたシルエットを8に見立てて?)、コミケでのエロ漫画勢の賑わいも、9月にはDX歌舞伎町のSM祭も……PCの画面越しに指を咥えるだけで精一杯という忙しさに駆られておりました。トホホ。
とは言え、地味~に変態活動(略してヘンカツ?)はしておりますよ。フェティッシュバーへの細々勤務は継続しつつ、8月末に行われた風見蘭喜さん(緊縛師)の20周年イベントを見に行くことができたし、今月はデパートメントHにも久しぶりに遊びに行きました。やっぱ月1程度はヘンカツしなきゃね~お尻の肉が垂れてきそう!!(あくまでも気持ちの表現であり、基本的に思い込みです)
さて、そんな変態イベント目白押しの旬を逃した悲しいライターこと私ですが、イベント目白押しの季節だからこそ気になったネット上でのやり取りがありました。
性別で分けられる入場料
基本的に、性を扱うイベントやお店では、入場料やチャージが男女別に設定されています。1000円以上女性が安いのは通例であると思います。
これがどこまで厳密なのか、またトランスだったらどうなるの? という疑問はまだ突き詰めたことがないのですが、基本的には見た目で判断される場合が多いと思います。身分証の提示は、年齢で疑われるケース以外で要求されたことはないです。
男性が高いのってオカシイ?
そう、それが業界では長年に渡り当たり前だと思いますが、ときどきいらっしゃるんですね、「なんで男が高いんだよ!!」という方が。そう愚痴っていた方に対し、Twitter上で結月里奈さん(世界を股にかける女流緊縛師)が一言で明快な答えをなさっていました。
「男性が高いんじゃなくて、女性が安いんだよ」と。
そうなのです、男性に求められている金額が基本料金、女の子は「特別にもっと安くするよ」って感じで女性料金が設定されているんだと思います。
ただ、そもそもこの料金システムへの不満を訴える方には、この一言では伝わらないというのが正直なところかもしれませんね……。女性料金だけが安く設定されているのは、“女尊男卑”なのでしょうか?
「セックスへの同意」を紅茶に例えて解説した動画は有名ですが、私は最初にこの動画を見たとき、「幼稚園児に説明するんじゃないんだから…」と思ってしまいました。でも、実感として、確かにセックスへの同意の話って、分からない人にはとことん伝わりません。この性産業の女性優遇システムも、理不尽だとか無意味だとか思っている人にとっては、それくらい理解が難しいのかもしれない、と想像してしまう私です。
しかし、流石に性産業における女性優遇の仕組みを紅茶には例えられない…
私の日本語力では、この仕組みを紅茶に例えることはできませんが、しいて言うなら、電車代やバイキングで小さい子どもに料金が発生しないのと近いでしょうか。子どもは体が小さいので物理的に大人1人分ほどの場所やエネルギーを必要としないためとも考えられますが、全く消費していないわけではありません。なのになぜ優遇されるのか。無料なのか。
それは、子どもを優遇しないことで子育てへの負担が今よりもっと多かったら、今どころの話ではなく少子化は瞬く間に進んでしまいますね。未来の納税者であり働き手である子どもが出生しなくなると、我々の年金も支払われませんよ。えらいこっちゃ。そういった暗黙の了解のもと、世の中のあらゆるところで子ども料金が設定されていますが、さほど大きな批判には晒されていないように思います。多くの人が「それくらい当たり前」と思ってくれているためでしょう。
それが性産業の女性優遇とどうリンクしているかって? その解説が難しいんですが……。まず、お店などでは特に、働いている女の子の多くが、元々お客さんとして来たことのある女性です。お店からしたら女性客を招き入れることは人材確保のチャンスを作ることにもなるんですね。また、女の子が働いている性的なお店のお客さんで、女性客の割合はそもそも低いです。その上、お店のことを好きだと思ってくれたり、容姿に恵まれていたり、仕事にできると思ってもらえる、となるのは本当に希少なことなのです。なので、1人でも多くの女性に「気軽に遊びに来て欲しい」また、「男性客が気軽に女性を連れて来れるように」という意図思いが、多くのお店にはあると思います。同じく、イベントにも、興味を持って来てくれる女性客が将来的に業界に入ることは十分あり得ます。
これが「社会における子ども優遇システム」と重なる点かと思います。
男性客は通常の料金設定でも大勢来てくれるけれど、女性客は安い料金設定でも男性ほど来てはくれないし、まして男女同じ価格だったら「ほぼ男しかいない空間」になってしまうんじゃないかと。
他にもあるよ、女性を優遇したいワケ
次に、ごくごく単純に、お客さんで女性が来てくれると、場が華やぎます。お店も助かるし、男性客も喜びます(少なくとも、嫌な気持ちになる人はあまりいません)。
とは言え、女性がお客さんとして入場しているのに、男性客相手の接待要員(または予備軍的な)扱いされるのはどーなのよという疑問もあるわけですが……ともかくお店やイベント主催側としては「女の子がたくさんいる空間にしたい」思惑があります。
また、お店の女の子が女性のお客さんを接客することは、もちろん人によって得意不得意ありますが、いちフェティッシュバー店員としての私は、女性のお客様相手の接客はジェンダー的なプレッシャーが少なくてリラックスできるので好きです。物理的な力の差も少ないですし、多かれ少なかれ共通の経験や話題も見つけやすいので、単純に必要な体力や精神力が少なくて済む感覚があります。有難いことです。
というわけで、女性客のほうが安い価格設定である理由、業界にとっての合理的判断なんです。