インタビュー

「産まず嫁がず幸せに生きていく」足立区在住、女の幻想ぶっ壊す系ユニット『IKAZUGOKE』インタビュー

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女の欲望、家庭と男と美貌だけ?

――北村さんは結婚を、飯田さんは同棲を。お2人とも長く付き合った異性の相手と経験しているわけですが、それを経て「結婚願望がない」と言っているんですね。飯田さんは、12年も付き合って、結婚という発想にならなかったのは、どうしてだと思いますか。

飯田:なんででしょうね。そもそも結婚したいと思ったことがない。産まず嫁がずのIKAZUGOKEなので。

北村:男の人に食わしてもらうって気持ちがまずない。

飯田:想像がつかないかな。

北村:想像がつかない。

――ですが、「結婚=男が女を養う」って形だけではない。

北村:っていう形だけではないのは、私も飯田さんもよくわかってるんですよ。両親が、特に母親ががっつり働いている姿を見てきたので。でも日本の社会にある女の幻想っていうのが、そういう母の姿とは何か違うじゃないですか。女の幸せっていうか……女は産みたい、嫁ぎたいもんだって思われている。女は結婚したがり、そして子供を欲しがるもんや、母親になりたがるもんや、みたいなんが世の中で定義されている幸せの図ですよね。家庭=幸せみたいな。

――女の幸せは仕事以外のプライベートな部分にしかないと思われている?

飯田:それはありますよね。男に唯一の女として選ばれてこそ幸せになれるとかもそうだし。

――この間、安室奈美恵さんが引退発表した時に、「仕事で走り回る日々は終えて、これからは女の幸せだ」みたいなことをどこかのスポーツ紙が勝手に書いていたのを読んだのですが、仕事で走り回ることは女の幸せではないとされているんだなあって。

飯田:仕事って女の幸せじゃないってことにされてる。

北村:あー、されてる。

飯田:仕事をすごいやってると、女を捨ててるって言われる。

北村:うん、思われる。

――性別的に女と仕事がすごく遠ざけられてる感じが、ありますね。

飯田:まあ仕事もそうですけど、たとえば「女は美醜にこだわる」というのも女幻想のひとつですよね。「女である以上は、美しいと思われたいはずだ」って、女も男も思ってるじゃないですか。多くの人が。
だからたとえば、別に、あんまりその今の雑誌とかの綺麗じゃない格好、見た目とかで登場すると、「ああ、かわいそう。ブスでかわいそう」みたいな。別にブスでいいって思ってても、本当はこの人はブスで悲しいと思ってるに違いないみたいな。
おどけているけれども、心からブスでいいと思っているはずがない!みたいに……。
加齢で「劣化」って言われるのもそうかもしれないですね。それを本人は受け入れてるかもしれないのに、老いが見た目に現れていることを本人は嫌がっているに違いない、って第三者たちが決めつけている。うーん。

北村:うんうん。確かにそれはある。

飯田:あと、「女の美しさ」っていうのも、結構一辺倒っていうか。

――まず若さが重要視されますね。

北村:大事ですね。女は年をとるのが嫌に違いないっていうね。

飯田:でも30代になって、楽しいよね。だんだんそういう枷から解放されつつあるっていうか。

北村:なくなってきてるから。

――私も30代の方が楽しいです。それらって、男が/女がで分けることでもないとは思うんですけど、当事者である女性自身が内面化している部分は大きいですよね。幼少期からそういう文化で刷り込まれているというか。

飯田:そうなんですよ、女がね。そしてそれを強化するメッセージが無差別に溢れている。広告もテレビも。

北村:それこそ雑誌だってそうじゃない? ファッション誌はさ、私のようなちんちくりんが絶対に合わないようなさ、格好ばかりすすめてくる。働く女のスタイルみたいな、そういう雑誌は特に。そんなふうに決められた美に当てはまれる女の人なんて少数ですよ。

――メディアといえば、「結婚したら絶対幸せ」ってイメージで固めていることに違和感はないですか。

北村:それも恐い、本当に恐い。結婚や出産について、広告や雑誌はハッピーで薔薇色なイメージで彩るんですけど、でもその一方で別の雑誌やテレビ番組では育児ノイローゼですとか、不倫されて悩んでますとか、結婚したけど借金があってとかも取り上げてる。そういう記事と結婚したら幸せだよって記事の置き場所が完全に分断されてるというか別々になってて、いや、同じ結婚じゃないですか! みたいな。

――では、そうしたいろいろな「女の幻想」をぶっ壊すっていうことを、お2人は『IKAZUGOKE』としてやられていくんですか?

飯田:そんなに大仰なことは考えていなかったんですけど……私が他の女性に伝えられるのは、結婚しなきゃとか、綺麗でいなくちゃとか真面目に思わないで、もっと面白い世界もあるよってことくらいで。実際すごく楽しいので、今。
みんなが同じように持ってる「女はこう」って価値観を無視して、もっとふざけたり、嘘ついたりとかしていいんじゃないの? みたいな。

北村:私としてはですね、こんな格好して、コントとかアホみたいなパフォーマンスを見せつけることによって、バカバカしいと思われたい。以前、「君たちは人生一回しかないのにこんなことやっててバカなんじゃないかって思うけどそれがいい」って言ってくれた人がいて。

飯田:人生が二回あるなら、一回くらいふざけてもいいなって思うけど、一回しかない人生をなんでそんなふざけて……と。

北村:そうそう、なんでこんなふざけてんだよって言われて。私、それは褒め言葉やなってうれしくて。好き好んでこういう暮らしをしているんでね。

――好き好んで足立区を選んで。

北村:引越しを決めたときに、「普通、女一人で住む町じゃない」「危ないからやめとき!」ってすごい周りから止められたんです。だけど東京拘置所があるから私はここじゃなきゃイヤだと。それに、住んでみたら本当に、住みやすくて楽しい町です。物価も安いし。スーパーでジャガイモとかニンジンとかが110円ですよ。

飯田:まあ好き好んでこういう暮らしをしているけど、今は若くて健康だからいいだけなんですかね。6070歳くらいになって、独居で、誰かに迷惑かけるっていうのがちょっと怖い。今は1人で暮らすのが本当に快適で。年取ったら、そうも言えないのかもしれないけど……。

北村:そうですね。体の自由がきかなくなってきたりするかもね。

飯田:まだそこまで体の自由がきかないってことがリアルに想像できてない。

北村:若いもん、だって。

飯田:まだね。だから、その状態で今は、一生1人で暮らせたら、いいな、快適だなって私は。それぐらい、私は一人暮らしが快適です。男とか家族と暮らしてるより断然いいなこれは、って。

――40年後に、日本社会がどんなふうになっているかなんて、わかりませんからね。1977年と2017年でも相当、環境が違ってますし。2057年なんて未来すぎて。

北村:そう、わからないですね。だからこそ今を楽しめばいいと思いますね。女という幻想に縛られて苦しむことなくね。

(構成:水品佳乃

IKAZUGOKE1stアルバム『IKAZUGOKE』PV

 

<発売記念ギグ東京編>

■1110日(金)@渋谷・サラヴァ東京
■19時開場 / 20時開演
■予約2500円(1ドリンク別)/ 当日3000円(1ドリンク別)
■ゲスト:河井克夫、宮崎吐夢

☆ご予約いただいた方にはIKAZUGOKEオリジナル「後家新聞」の特典付き!前売予約は会場にお問い合わせ又はこちらから→ ikazugoke2016@excite.co.jp

■IKAZUGOKEホームページ https://ikazugoke.jimdo.com

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