
セックスの前には剃り剃り。Photo by Karolina Mis from Flickr
このコラムでもたびたび書いていますが、私は性器にコンプレックスがあります。そして、毛深いのもコンプレックス。躍起になってパイパンにしようとしているのも、そのせいです。そのためにいくら脱毛にお金を費やしてきたか……(遠い目)。でも、それでコンプレックスからだいぶ解放されつつあるので、散財した甲斐があるというものです。
性においてコンプレックスを持っていない人など、きっといないでしょう。性別や年齢を問わず、誰もが何かしらの劣等感や屈託を抱えているはず。それは私の性器、体毛のようにフィジカルなことかもしれませんし、男性なら早い、女性なら濡れないといった機能に関することかもしれません。テクニック面でもやもやしたものを抱えている人もきっといますよね。
コンプレックスには自分発のものと、他者から付与されたものがあります。すごく濡れにくい女性がいたとして、パートナーと一緒に潤滑剤を使うなど工夫しながらスムーズにセックスを愉しんでいて、痛みも感じないのなら、それはコンプレックスにならないでしょう。でも心ない人から「濡れにくいなんて、女としておかしくね?」などと詰られることで芽生えるコンプレックスもあります。
私は性器や体毛について無神経なことを言われた経験はないのですが、じゃあこれが内発的なコンプレックスかというと、そうとも言えません。まだ性を意識していない10代の頃から、雑誌やテレビで見るモデルさん、女優さんの肌がムダ毛どころか毛穴さえなさそうなのを見て、「それに比べて私は」とひとり胸のうちでコンプレックスを育てました。
メディアが植え付けるコンプレックス
そのうちこっそりAVを観るようになって、セクシー女優さんの性器と自分のそれを密かに比べるようになり「私のは、なんかヘンな気がする」と悩み、「早くセックスしたい」と「好きになった人に、こんなもの見せられない!」との間で揺れていました。う~ん、思春期!
これらはメディアによって植え付けられたコンプレックスとも言えますが、同じような思いをした人は少なくないと思います。メディアにおける女という生き物は、ムダ毛なし、体臭なし、口臭もなし、常に体型は綺麗に保たれていて、髪はつやつや、肌はうるうる、下着もいつもセクシーに……これ、もう人間じゃないですね。何もしなくてもすべてクリアできちゃう恵まれた人もいるでしょうが、それを“基準にされたのでは、たまったものではありません。
一方、コンプレックスがどんな経緯で生まれたとはいえ、それを自分以外の誰かに押し付けてはいけないものです。
先ごろ「股間からアダルト玩具を露出 63歳古物商のコンプレックス」というニュース記事を見つけました。露出狂に遭遇! モノを見せつけられた! と思いきや、それはディルドでした、というオチ……いや、これはオチなのか!?
私は「バイブ」コレクターなのでディルドはほとんど持っていません。でもリアルショップでもネットショップでもディルドジャンルを覗くことはよくあります。ま~エグいエグい! 基本的にはペニス模倣系、より誇張してグロテスク感をアップさせたものも多く見かけます。素敵なデザインのものもないわけではないのですが、ごく僅か。バイブレーターは男根を連想させないデザインが世界の主流になっているのに対し、ディルドの世界はどれだけ男根感があるかを競い合っているようにすら見えます。
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