M「もうひとつ義妹の口癖があって、『●●すれば、人としてレベルがあがる』というもの。こうなるともう、自然派育児は子供のためじゃなく、自分のレベルを上げて、母親に認められたいだけなのかなと。『ドキドキしないから、■■は嫌い』とかいう言葉もすごくよく使います。これを聞いて、私の母がアムウェイの友人から勉強会へ誘われたという話を思い出しました。アムウェイのシャンプーはそのへんのシャンプーと含まれている成分がそんなに変わらないのに、なぜ1万円もするのかと聞いたら『ドキドキするぶん、高い』の一点張りだったそうです。それとまったく同じで『予防接種はドキドキしないから嫌い』とかいう理屈なんです」
その話を聞いているこちらもドキドキ。余談ですが、ドキドキする(たぶん夢があるという意味)から価値がある! という主張は、〈ワクワクすること=魂が喜ぶことにお金を使おう〉と主張する、子宮系女子たちのトークとシンクロしますね。なるほど、子宮系商売は、マルチ界のトークを踏襲していたのか。
トンデモ育児の「実害はない」?
M「義妹は、『身体障害を持つ子供が欲しい』なんて発言もしています。育て甲斐があるからだそうで。それを聞いて本当に腹立たしく思ったのを覚えています。でも、粉ミルク育児は発達障害になるからダメなんだって言ってなかったけ!? とも。基本的に発言にあまり整合性がなく、そこを指摘されると、ワクワクとか毒とかレベルとかよくわからない理屈で逃げるんです」
自然派育児・自然派出産には、たびたび専門家によって「自己実現の手段にしないで」と警鐘が鳴らされますが、このお話はまさに典型例。母親に認められたい、心の穴を埋めたいことが最優先となり、〈子供の健康を守る〉という育児の基本、そして理論的に物事を考えることが、異次元へすっ飛んでいってしまったかのようです。
毎日2時間の入浴(しかも泣きっぱなし)、明らかにトラブルがありそうな真っ赤な肌、真夏でも重ね履きさせられる靴下、全身から漂う異臭。そして予防接種拒否や感染パーティ。実はこれらは、M子さんの親戚が勤めていた保育園で、退園後に亡くなってしまった自然派ママのお子さんとよく似ていたのだそうです。
そんなことも動機となり、M子さんは義妹が住む地域の児童相談所へ相談をしました。