連載

最も愚かな年越し! 酔っぱらいおママたちの歌に涙!

【この記事のキーワード】

 グランドチャンピオン大会への出場を要請された上位ランカーのママさんのうち何人かは、様々な理由から毎年出場を辞退され、出場に至ったママさんたちは大抵ぐでんぐでんに酔っ払った状態で出場されているのがこの番組の特徴だと思います。ほとんどの歌は聞けたものじゃないのですが、中には必ず1人、本当に震えるほど歌のお上手なママさんがいらっしゃって、見ていて予期せぬ感動を得られる、というのも特徴だと思います。

 歌のプロではない場末のママさんたち(しかもぐでんぐでん)が歌うのを見て、何が面白いの? と、思われるかもしれません。私も最初はそう思っていました。けれど、これが滅法面白く、エンターテインメントに昇華されているのです。歌はワンコーラスかそれ以下にカットする編集の潔さ、そしてマツコ・デラックスさんとふかわりょうさんの絶妙で冷静なコメントの賜物だと思います。

苦労を感じさせないママさんたちを尊敬

 なによりもこの番組を面白くしているのは、歌の前に紹介されるママさんたちの壮絶な人生でしょう。

 16歳で不倫・妊娠・結婚、子供の教育費のために風俗で働き、AV『世界の猿ぐつわ』などへの出演を経て「スナック キリカ」のママとなり、「大好きなダニ(鶯谷)のために歌う」と宣言するキリカママ(44)。「駅のホームのベンチに捨てられていたお前を、赤ん坊のときに拾ってやった」と言う両親とは縁を切り、借金、未婚の母などを経てスナックのママになり、現在全身のガンと闘っている「スナック ダウンタウン」のゆいママ(自称900歳)。

 中でも一番印象的だったママさんは、アル中の母親の元に生まれ、ストリッパーを経てスナックのママになった「スナック ラブリーバー」の祐丘ママ(41)。下ネタを使った英語教材を作るのが夢だと笑顔で語り、「ストリップで鍛えた身のこなしが武器!」と体を張って笑いをとっていました。祐丘ママの笑顔は本当に素敵で、パフォーマンスは歌もダンスも、とても素晴らしく、私は今年も『輝け!おママ対抗歌合戦~グランドチャンピオン大会~』を見ることで、不毛な年越しに一瞬の笑いと感動を得ることができたのです。

 辛かった過去を暗い顔で語るママさんは1人もいらっしゃいませんでした。そんなママさんたちを尊敬するとともに、正月から「明るい気分になれない」なんてほざいている自分の小ささを反省する良いきっかけを得られた番組でした。

■歯グキ露出狂/ テレビを持っていた頃も、観るのは朝の天気予報くらい、ということから推察されるように、あまりテレビとは良好な関係を築けていなかったが、地デジ化以降、それすらも放棄。テレビを所有しないまま、2年が過ぎた。2013年8月、仕事の為ようやくテレビを導入した。

backno.

1 2

大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』