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「子宮系女子」になった母、その原因が自分にもあるのではないかと悩む娘

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Tさすがに母から、積極的にセックスやマスターベーションしろとは言われませんね。子宮委員長的な自由な生き方はいいよね、常識にとらわれちゃダメだよね、みたいな精神論が多いです。でも〈下半身を温めること〉とりわけ〈おまたカイロ〉はよく勧めてきますよ。おまたカイロ、私はあんまり気持ちいいと思ったことがありませんし、あったかくなりすぎてムレたりするとカンジダとか引き起こしそうで怖いので、実践はしていません」

 Tさんは現在、結婚して実家から離れた土地に暮らしているので、日常生活で母の子宮系女子活動に悩まされるなどの〈実害〉は少ないそう。

Tそれでも、家族がキラキラ演出の道具に使われることがあるとモヤっとします。私自身はどうでもいいのですが、私の子供、母にとっての孫を使われるのはちょっと。私が出産した時には病院へ来てくれたのですが、Facebookの投稿に一生懸命になっている姿が印象的でした。最近の心配は、仮想通貨マルチに手を出していることです。はじめは大変だ! と、仮想通貨を調べたりしていましたが、よく考えてみれば問題はマルチじゃなく、子宮系にハマったのが8割以上というか、もはや完全に元凶です」

 子宮委員長はことあるごとに、「仕事のドタキャンや不摂生不道徳散財etc. 世間的には非難されるようなことでも、自分が心から楽しいことをしてこそ、お金にも異性にも愛される! 自分軸で生きよう!」というお説を発信します。これがますます話が通じない原因になっていると、Tさんは分析。

T母は、子宮系女子の生き方楽しい! の一環として仮想通貨マルチに手を出しているので、『儲かる! このシステムはすごい!』とかじゃなくて、『ワクワクするから』『直感でいいと思ったから』というのが購入動機なんですよ。だから金銭被害が相次いでいるとか儲からないとかの、理詰めの説得が通用しません」

 そんな母の活動を父はまったく理解できないと言い、元から会話の少ない夫婦ではあったけれど、子宮系女子への傾倒によってコミュニケーション不足に拍車がかかり、「両親が離婚するのも時間の問題だと思う」と語ります。

Tもともと性格の不一致が顕著な印象の夫婦でしたが、母が子宮系女子となったことで溝がさらに深まっているように思えます。ハマりはじめた当初は、家族関係を改善することに特化した〈あげまん道〉を謳う〈ちゃみさん※〉にハマっていたので、そこに留まっていれば、もしかしたら家族的にはまだ幸せだったかも」

※現在は子宮系女子の看板を下ろし、ファッションブロガーを名乗っている

自分のせいで母は…という罪悪感

Tところがその後、さらに欲望に忠実で何でも自分最優先! がウリの子宮委員長に鞍替えしたので、夫婦関係だけでなく、世間との溝もどんどん深まっています。『毎月の支払いが重い』『貯蓄がない』などぼやくわりに、『はるちゃんに会いに行ってくるね!』とか言って頻繁に新幹線や飛行機を使う距離のところへ出かけていくので、家計も心配です」

 Tさん母の現状を見れば、子宮の声に従ってワクワクすることを最優先しても、お金も愛もすべて得られるという〈ご利益〉がもたらされていないのは明らか。しかし同士が集う子宮系女子のコミュニティに居心地の良さを感じているようで、当分はやめる気配がないようです。

 Tさんが母の子宮系女子活動を知る手段は、主に電話での会話。母が「(子宮委員長)はるちゃんすごい!」と語るのを「へー、ほー」と聞き流すようにしているそう。そうやって適度な距離を保ちながら平静を保つようにしていても、母が子宮系女子で恥ずかしいという気持ちと同時に、「そもそもは私のせいでは?」という気持ちが常に湧き上がると話します。

T母の人生は、苦労が多いと思うんですよね。大病を患ったり不妊に長年悩んだり。なんとか私を産んだものの、第2子は身体の都合で中絶せざるを得なかったと言います。子育ても苦労続きで、私は学生時代に精神病を患ってほぼ引きこもり。高校も大学も、なんとか私学へ進むものの、結局どちらもほとんど通えず退学してしまいました。そんな状況で姑は大の学歴至上主義。子供をいい学校へ進ませなくちゃというプレッシャーもすごかったようです。夫婦関係も常に微妙で、父は職に就くも、長くて4~5年で辞めがちで、さまざまな職を転々としています。さらにあまり性格が合わない夫とのコミュニケーションに難儀していたようですから、心も生活も安定することがなかったのではないでしょうか」

 そんな心の穴を補うのに必要だったのが、スピリチュアル。特に子宮委員長はやんちゃにもほどがある奔放な私生活をふりまくことから、「挫折を無条件に肯定してくれる」と思わせ、「母をより子宮系へと向かわせるバネになったのでは」とTさん。

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山田ノジル

自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。当サイトmessyの連載「スピリチュアル百鬼夜行」を元にした書籍を、来春発行予定。

twitter:@YamadaNojiru

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